「リクガメって、夏は暑さに弱いし、冬も寒がるってほんと?」
そう思っていたあの頃のわたしに、今すぐ会いに行ってアドバイスしてあげたい。
無知だったとはいえ、あのときの“焦りと不安”は、今でもちょっと胸が痛みます。
実はうちの子(ヘルマンリクガメ)も、初めての夏を迎えたときに体調を崩してしまったことがあるんです。
食欲が落ちて、動きも鈍くなって、何をしても反応が薄い。
ケージの中のどこが暑いのか寒いのかもわからなくて、私はとにかく温湿度計を片手にケージを何度も覗き込み、昼夜問わず様子を見ていました。
今思えば、エアコンの風が直接当たっていたのかもしれないし、ケージの設置場所が良くなかったのかもしれない。
そういう「小さなことの積み重ね」が、リクガメにとってはすごくストレスだったんだと思います。
でもね、だからこそ気づいたんです。
季節ごとに「気をつけるべきポイント」さえ押さえておけば、リクガメとの暮らしは本当にもっと穏やかで、リラックスできるものになるって。
リクガメって、のんびりしてるようでとても繊細。
でも、その繊細さをちゃんと理解してあげられたら、ぐっと距離が縮まるし、こちらの気持ちも不思議と整ってくるんですよね。
今回は、そんな私のリアルな失敗談や「あのときこうしておけばよかった」という後悔も交えながら。
リクガメを夏も冬も元気に育てるための温度・湿度管理のコツを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
これを読んでくださるあなたと、あなたのリクガメが、もっと快適にもっと仲良く暮らしていけますように。
リクガメは温度と湿度に敏感な生き物
リクガメの適温って何度くらい?
リクガメの快適温度は、だいたい26~30℃前後。
日中はホットスポットで32℃くらいまであってもOKですが、夜は少し下がる程度(24℃程度)が理想です。
日中と夜間の差がありすぎると、体に負担がかかってしまうこともあります。
特に子ガメの時期や、体調を崩しているリクガメには、少し高めに安定させたほうが安心な場合もあります。
温度が高すぎると熱中症、低すぎると代謝が落ちて体調を崩します。
うちの子も、日中にホットスポットが36℃近くになってしまっていたことがあり、明らかに呼吸が早くなってぐったりしていました。
温度管理は、“目で見る”だけじゃなくて、数値で把握することが大切です。
つまり、適温キープ=健康管理の基本なんです。
湿度が高すぎても低すぎてもNG!
リクガメの種類にもよりますが、一般的には湿度50~70%前後が目安。
特に高温多湿の日本では、梅雨や夏場に湿度が上がりすぎてしまうこともよくあります。
湿度が低すぎると脱皮不全や呼吸器トラブル、高すぎると床材がカビたり、菌が繁殖して病気につながることも。
私自身、初めての冬に加湿を怠ってしまい、鼻水が出始めてから慌てて対処した経験があります。
「乾燥地帯の生き物=カラカラでもOK」と思っていたんですよね。
それが大間違い。
ケージの場所や床材の乾き具合なども含めて、湿度は意識的に“管理するもの”です。
体調に表れる温湿度トラブルのサイン
体調の変化はじわじわとやってきます。
食欲がなくなったり、動きが鈍くなったり。
とくに
- いつもより寝てばかりいる
- シェルターにこもって出てこない
- 水を飲まない
リクガメは言葉で教えてくれない分、小さな変化をこちらが気づいてあげることがとても大切。
私の場合、「なんだか今日はおとなしいな」と思った日の夜に温湿度計を見てびっくり。
ケージの湿度が30%を切っていたんです。
「あれ?」と思ったときこそ、温湿度をチェックするクセをつけておけば、もっと早く気づいてあげられたかもしれない…
そんな反省も込めて、今では朝晩必ず温湿度チェックをするようにしています。
夏のリクガメ飼育|暑さ対策と湿度管理のポイント
エアコンと保冷グッズの使い方
夏場はエアコン管理がマスト。
室温が30℃を超えるような日には、クーラー+保冷グッズの併用が効果的です。
特に熱帯夜が続くときは、一晩中エアコンを弱くかけっぱなしにすることもあります。
わが家では、保冷剤を布に包んでケージの外に設置し、空気がほんのり冷えるように工夫しています。
保冷剤を交換するときに「ひんやりゾーン」と「ぬくぬくゾーン」の温度差を手で確認するのが日課です。
直接当てるのは絶対NGですよ。
冷えすぎてしまって逆にお腹を壊す危険性がありますし、結露が発生して湿度バランスも乱れがちになります。
ファンで空気を循環させるのもおすすめ。
熱がこもりがちな部屋では、空気の流れを作るだけでも体感温度が大きく変わります。
直射日光・熱中症に注意すべきサイン
窓際のケージ、実は危険です。
うっかりしていると、朝日が当たっている時間帯にケージの温度がぐんぐん上昇してしまうことも。
日が差し込むとあっという間に室温が上昇し、リクガメが「ぐったり」してしまうこともあります。
わが家でも、一度直射日光の位置を見誤ってしまい、午後には甲羅が熱くなっていて大慌て。
目がとろ~んとしていたら要注意。
鼻の頭や手足の先が乾いていたら、熱中症の兆候かもしれません。
私はこれで1回ヒヤッとしました。
念のため、午後の時間帯に室温と甲羅の表面温度を両方チェックするようにしています。
夏の水分補給と湿度キープのコツ
朝晩に霧吹きで軽く湿らせるのが◎。
特に寝起きや食後にシュッとひと吹きすると、呼吸が楽になるのか、気持ちよさそうに目を細めます。
それでも乾燥が強い日は、水皿を2個置いたり、濡れタオルを近くに吊るしたりして調整しています。
室内でクーラーを使うと空気が乾燥しやすいので、加湿器を併用することも検討してみてください。
また、エサの野菜に少しだけ水をかけて水分補給をサポートするのも良い工夫です。
体重減少もチェックポイント。
週1回でもいいので、体重計で測って変化を記録しておくと安心です。
夏はとにかく「ちょっとやりすぎかな?」くらいの気遣いが、リクガメの健康を守る鍵になります。
冬のリクガメ飼育|寒さ対策と加湿のコツ
ヒーター・保温ライトの正しい設置位置
保温ライトはケージの端に設置して、「暑い・寒い」を自分で選べるゾーンを作るのがベスト。
片方はホットスポット、もう片方はやや涼しいスペース、というふうに“温度差”をつけてあげると、リクガメが自分で快適な場所を見つけやすくなります。
わたしは最初、全体を均等に温めようとして失敗しました……
逃げ場がないって、意外とストレスになるんですね。
特に寒がりな子は、じっとライトの下に居続けてしまって脱水気味になったり、逆に暑がりな子は動けずにぐったりしてしまうことも。
今では、ライトの高さや設置角度も微調整しながら、ケージ内に「選べる環境」を作るようにしています。
ときどきサーモグラフィーアプリで表面温度を確認するのも、地味だけど効果的な習慣です。
夜間の温度低下にどう備える?
真冬の夜は要注意!タイマー付きのヒーターやサーモスタットを使って、夜間でも24~25℃はキープしたいところ。
リクガメは夜に体温が下がりすぎると、朝になってもなかなか活動しない、食べない、といった不調につながります。
わが家では、保温球とパネルヒーターのダブル使いをしており、サーモスタットで自動調整するようにしています。
加えて、ケージ全体を毛布や保温シートでぐるっと囲って、断熱効果を高めています。
以前、ヒーターのコンセントが緩んでいて夜中に止まっていたことがあり、朝方にケージ内が20℃を切っていて冷や汗をかきました。
それ以来、夜間の安定性チェックは欠かさず実施しています。
冬に起きやすい「食欲低下」への対応
冬になると、リクガメは日光浴の時間が減るせいか、動きが鈍くなりがちです。
代謝が落ちて、当然食欲も落ちる。
わが家でも「昨日のエサ、まるごと残ってる……」と焦ることが何度もありました。
そんなときは、まず“光”と“温度”を疑ってみましょう。
照明が弱かったり、点灯時間が短すぎたりすると、活動モードに入りにくいんです。
照明を1~2時間延ばしたら、翌日からまたパクパク食べてくれるようになったこともあります。
また、エサの種類を少し変えてみるのもひとつの手。
体を温めやすい野菜(小松菜やかぼちゃなど)を加えることで、食欲が戻るケースも。
冬場はほんのちょっとの変化が大きく影響するので、焦らず少しずつ“試してみる”のが大事だなと感じています。
季節の変わり目はリクガメもストレスを感じる?
換気と保温のバランスがカギ
春・秋の気温差が激しい時期は、空気の入れ替えと保温のバランスが大事です。
室内の空気がこもりがちになると、ケージ内も湿気がたまりやすくなり、床材がじとっとする感じに。
これは衛生的にも良くないですし、カビの原因にもなります。
私は日中だけ窓を開けて、空気をしっかり入れ替えるようにしていますが、その際もケージに直接風が当たらないように注意しています。
夜は気温が一気に下がるので、すぐに閉めて保温を意識。
時にはサーキュレーターを使って、空気をうまく循環させながら、湿気が偏らないようにしています。
換気と保温、どちらも偏りすぎるとリクガメの健康に響くんだなぁと、何度も学びました。
春・秋の“気温差”で注意すべきこと
朝晩の冷え込みがリクガメの体調に大きく響きます。
朝ケージを見たときに「動かない……?」と不安になったこと、何度もありました。
朝晩の室温を把握して、適切にフォローするのが安心です。
特に、日中はポカポカでも夜になると10℃以上差が出る日なんかは要注意。
昼間の感覚で「大丈夫だろう」と油断していると、リクガメが寒さでじっとしていたり、食欲が落ちていたりと、じわじわ影響が出てきます。
私は、春と秋だけは特にこまめに室温チェックするようになりました。
また、気温差だけでなく湿度も変動しやすいので、朝は乾燥、夜はじめっとした感じ…なんていう極端な日もあります。
こういう日は、加湿器の稼働時間や窓の開閉タイミングを微調整するようにしています。
環境を変えるときのリクガメへの配慮
衣替えのように、急に床材を変えたりケージの位置を変えると、ストレスで動かなくなることも。
とくに、季節の変わり目は気候の変化に加えて“環境の変化”が重なるので、リクガメにとってはダブルパンチになることもあるんです。
うちの子は、ライトの位置をちょっと変えただけで1日中シェルターにこもってました(涙)。
それ以降、「ちょっとした変化こそ慎重に」が合言葉になりました。
環境を変えるときは、できれば数日かけて徐々に。
たとえば
- 床材を全面変えるのではなく、半分ずつ切り替えたり
- ライトの位置を数センチずつ動かしたり
それからもうひとつ。
新しい環境に変えたあとは、エサの食いつきや動き方、寝る位置などを注意深く観察して、ちょっとでも違和感があればすぐに戻せるようにしておくと安心ですよ。
温湿度管理に便利なグッズ・アプリ・アイデア集
温湿度計は必須!おすすめの設置場所は?
ケージ内に最低2か所、温湿度計を置いてください。
ホットスポットとクールゾーン、それぞれでチェックできると理想的です。
特に日中と夜間、場所によって温度差が出るため、複数箇所に設置することでリクガメの“実際に感じている環境”を把握できます。
スマホ連動の温湿度計も便利で、外出中でも安心感が段違い。
通知機能付きのものなら、設定温度を超えたときに即座に知らせてくれるので、帰宅前に対処できて助かります。
私も最初はアナログな温度計1つだけで済ませていましたが、それではケージ内の“偏り”を見逃してしまいがち。
ホットスポットは30℃超えなのに、隅の方は20℃台前半…なんてこともありました。
温湿度計はただ置くだけじゃなく、見る習慣もセットでつけたいですね。
自動制御器・スマート家電で快適さUP
サーモスタットや自動加湿器があると、季節の変化に対応しやすくなります。
とくに朝晩で温度差がある季節や、急に乾燥が強まる時期は、“人の感覚”では追いつかない部分を自動で補ってくれるのが大きな強みです。
設定ひとつで「過保護レベル」で見守ってくれます。
加温も加湿も、一定ラインを保ち続けることで、リクガメのストレスがぐっと減りますし、こちらの心の平穏も守られます。
私は加湿器の水切れで何度も焦ったので、アラート機能付きがおすすめです!
最近はスマホと連携して「水がなくなりました」と教えてくれるものもあって、めちゃくちゃ助かってます。
あと、ヒーターのサーモスタットも切れたときに「ブレーカー落ちた?」と夜中に起きた経験があり、バックアップ用の温度計と警告アラームはセットで導入するようにしています。
筆者の体験談|季節別のトラブルと解決法
夏はケージ内が40℃近くまで上がってしまい、リクガメがぐったり。
実際には室温は30℃程度だったのに、ホットスポットのライト直下が思った以上に熱くなっていたんです。
温湿度計をしっかり複数設置していなかったことが原因でした。
そこからは、「ケージの中は均一じゃない」と肝に銘じて、スポットごとの確認を日課にしています。
冬はヒーターの故障で朝方ケージ内が17℃に!あのときは本当に焦りました。
カメはじっと動かず、顔も出さず。
慌ててブランケットを追加して加温しましたが、幸い大事には至らずに済みました。
それからというもの、予備の保温器具をひとつ常備しておくようにしています。
どちらも事前に「もうちょっと気をつけてれば…」で防げたことばかり。
結局、環境チェックは毎日のルーティンにすること、これが何よりのコツです。
ケージ内の温湿度を朝晩に見て、手で触れて、そしてリクガメの動きと表情を観察する。
機械だけじゃない“感覚”も大切にして、リクガメとの信頼関係を築いていきたいですね。
まとめ
リクガメって、見た目はのんびりでも、意外とデリケート。
見ている分にはとっても穏やかで、癒される存在だけれど、そののんびりの裏には、環境への敏感さやストレスの受けやすさが潜んでいます。
だからこそ、私たち飼い主が“ちょっと先回りしてお世話する”ことが大切なんだなって、つくづく思います。
事前に気温をチェックしたり、湿度を微調整したりするそのひと手間が、彼らの命を守ることにつながる。
それは大げさでもなんでもなくて、本当に日々の小さな積み重ねなんですよね。
「夏は熱中症、冬は低体温や乾燥」
「季節の移り変わりや突然の気温差、湿度の乱れ」
そういった“人間なら気にも留めない変化”が、リクガメには命にかかわるストレスになります。
でも、ちょっとした変化を見逃さず、しっかりケアしていけば、リクガメとの暮らしはもっと安心で、もっと楽しく、そしてもっと絆のあるものになります。
そして何より、「この子が今日も元気にしてる」って確認できる毎日は、それだけでちょっと幸せ。
何気ない日常のなかで、甲羅をトントンって叩いて「今日も元気かい?」って声をかけられる、その余裕こそが、リクガメとの暮らしの本当の豊かさだと思っています。
あなたのリクガメライフが、季節を越えてあたたかく、やさしく、そして長く続いていきますように