「この子、ちゃんと食べてるのかな…?」
リクガメをお迎えして間もない頃、私は毎日そんなことばかり気にしていました。
見た目はかわいくて癒されるけど、何を考えているのかよくわからない。
お皿の上の野菜を見ては、「これで足りてる?」「ちゃんと栄養とれてる?」と不安で、何度もスマホで調べていました。
動きはのんびりで、感情表現も控えめ。
でも、そんな子の健康状態をはかる一番の目安が“食欲”なんですよね。
食べてる姿を見てホッとしたり、逆に手をつけない日があると心配でたまらなくなったり。
リクガメとの暮らしは、静かなようで実は心がめちゃくちゃ動くものです。
この記事では、そんな“ごはん事情”にフォーカスして、リクガメが元気に長生きするための理想的な食事内容や、実際にうちの子が喜んだおすすめの餌、
そして絶対に避けたいNG食材まで、まるっとご紹介します。
初心者の方にもわかりやすく、「これなら安心してあげられる!」と感じられる情報を、
私自身の失敗や工夫も交えてお届けします。
これから飼い始める方も、ちょっと行き詰まっている方も、きっとヒントが見つかるはずです。
リクガメの餌ってどんなもの?基本を知ろう
リクガメは草食性が基本!主食・副菜・おやつのバランスとは?
リクガメは基本的に草食性です。
「何でも食べるんでしょ?」と思いきや、実はかなり食材に気を使う生きもの。
雑食動物のように見えるかもしれませんが、実際には肉や魚、乳製品などはNG。
葉物野菜を中心に、繊維質とミネラルをバランスよく摂取できる食事を整えることが、健康で長生きしてもらうためにはとても大切です。
我が家では、メインの“主食”にはチンゲンサイや小松菜、サニーレタスなどを中心に、副菜としてニンジンやカボチャをほんの少量プラス。
あとは、たま~に果物をおやつとして与えるようにしています。
さらに、リクガメによって好みが違うので、食いつきが良いものを探す“餌探し”も大事な時間。
最初は「これだけで栄養足りるの?」と不安にもなりましたが、自然界に近い食事が何より大事なんだと、何度も感じました。
人間の「いろいろ食べてバランスよく」という発想ではなく、「自然の中でカメが食べているようなシンプルで安心なもの」を基本に考えるようになりました。
自然に近い食事が理想!野菜と葉物中心が基本
リクガメはもともと乾燥地帯に生息している種類が多く、
水分が多すぎる野菜や果物を与えすぎると、お腹を壊すこともあるんです。
特にレタスやキュウリなどは水分が多いわりに栄養価が低く、そればかり食べさせると栄養不足に繋がるリスクもあります。
だからこそ、葉物野菜を中心に、食物繊維やミネラルを意識して与えるようにすると、うんちの状態や食いつきが明らかに変わってきます。
うちの子も、ある時から急に食いつきが良くなったと思ったら、その日はモロヘイヤや春菊など香りの強い葉物を入れていた日だったんです。
香りや食感など、ちょっとした工夫で好みを引き出せることもあるんだなと学びました。
「自然に近い」という言葉を信じて、地味だけど滋味深いメニューを目指しましょう。
食べる楽しみを提供しながら、健康的な食生活を支えていく。
それが、リクガメとの暮らしの中で、いちばんやさしい愛情のカタチかもしれません。
おすすめの餌一覧|うちの子が喜んだ食材はこれ!
リクガメがよく食べる!人気の野菜&葉物5選
我が家のカメちゃんが特に喜んだのは以下の5つ。
- 小松菜(安定の主食)
- チンゲンサイ(苦みが少なく食いつき◎)
- サニーレタス(たまにあげるとテンション上がる)
- モロヘイヤ(栄養価も高く、ちょっとご褒美感)
- クレソン(香りで食欲アップ!)
毎日の献立に悩むときは、とりあえずこの2つで乗り切れます。
また、日によって食いつきが違うこともよくあるので、同じ葉物でも組み合わせや切り方。
さらには水にさらしてみたり、少し常温に戻してみたりと、ちょっとした工夫が功を奏することも。
うちでは、サニーレタスをくるっと丸めてボリューム感を出すと、なぜか食いつきがよくなる日がありました(笑)
香りや食感のバリエーションも、彼らにとっては楽しみのひとつなのかもしれません。
正直、初めは「え、野菜だけでいいの?」と拍子抜けしましたが、うちの子はむしろ野菜が主役のほうが元気そうに感じます。
それに、モロヘイヤやクレソンのような少しクセのある野菜も、日を置いて再トライしてみると、ある日突然「モリモリ食べる!」なんてことも。
気長に、でもじっくりと付き合っていくのがリクガメのごはん選びの醍醐味です。
毎日はNG?果物を与えるときの注意点
リクガメに果物をあげるのは、週1~2回の“ご褒美”程度にとどめましょう。
甘みが強く、カメにとっては「やみつき系」の味。
でも、糖分の摂りすぎは肥満や内臓疾患の原因になることもあります。
- りんご
- バナナ
- イチゴ
- キウイ
特に熟しすぎた果物は糖度が高く、食べすぎると胃腸に負担がかかるので要注意です。
我が家では、バナナを小さくスライスして、温浴のあとに一切れだけあげるのが恒例行事。
「今日のおつかれさま!」の気持ちを込めて、小さなごほうびタイムを設けています。
そのおかげか、お風呂のあともすっかりリラックスモードです。
果物はあくまで特別な“デザート”として、カメちゃんの心をちょっと弾ませるくらいがちょうどいいのかもしれません。
市販のペレットや人工餌は使ってもいい?
人工飼料(ペレット)は便利ですが、補助的な使い方がベストです。
日々の食事をすべてペレットに頼ってしまうと、噛む力が衰えてしまったり、顎の筋肉がしっかり育たなかったりといった懸念もあります。
また、リクガメにとって“咀嚼”は食事の一部であり、しっかり噛むことで体調管理にもつながっているように感じます。
我が家では、旅行中や体調の様子を見たいときなど、緊急時やどうしても時間が取れないときにだけ使うようにしています。
ただし、カルシウムやビタミンD3が添加されているタイプもあるので。
「栄養補助食品」として時折利用する分には、とても心強い存在になってくれるのは事実です。
ペレットに頼りすぎないようにしつつ、「いざというとき」のための備えとして持っておくと安心ですよ。
カルシウム・ビタミンの補給方法と注意点
甲羅や骨の健康に欠かせない栄養素とは?
リクガメの甲羅や骨の形成に欠かせないのが、カルシウムとビタミンD3。
カルシウムは骨の主要な構成要素ですが、体内に吸収されるためにはビタミンD3の助けが必要です。
このビタミンD3がないと、せっかくカルシウムを与えても吸収されず、体外へ排出されてしまうのです。
逆にD3だけを与えても意味がなく、カルシウムとD3の“セット”で初めて意味を成すというのがポイント。
しかも、そのバランスが崩れてしまうと、栄養の偏りや体調不良の原因にもなりかねません。
このバランスを保つために欠かせないのが「日光浴」や「紫外線ライト」です。
ビタミンD3は日光の紫外線によって体内で生成されるため、室内飼育の場合は必ずUVBライトなどの設備を整えてあげましょう。
我が家では、午前中の1~2時間を日光浴タイムにして、ベランダや窓際で日差しをたっぷり浴びてもらうようにしています。
紫外線ライトも補助的に使っていますが、やっぱり“本物の太陽”の力は強いですね。
日光を浴びたあとは、カメちゃんの表情もなんだかイキイキしている気がします。
カルシウムパウダーやサプリはどのくらい必要?
カルシウムの補給には、カルシウムパウダーを使うのが一般的です。
我が家では、週に2~3回、野菜に薄くカルシウムパウダーを振りかけています。
粉雪のように軽く、ほんのひとふり。やりすぎは逆効果。
たくさん振れば良いというわけではなく、かえって腎臓に負担をかけることもあるので注意が必要です。
「うっすら白くなるかな?」くらいがちょうどいいと感じています。
また、D3入りのサプリメントについても、与えすぎは禁物。
我が家では月に1~2回ほど、いつもの野菜に混ぜて与えるようにしています。
季節や日照時間によって紫外線の量も変わるので、日光が少ない冬場は少し頻度を増やすなど、調整しながら使うようにしています。
「たくさんあげれば健康になる!」という発想は、人間でもカメでも要注意。
むしろ“適量を守ること”がいちばんの愛情かもしれませんね。
ちなみに、カルシウム入りのペレットやサプリの種類によっては、効果が強すぎるものもあるので、できれば爬虫類用として販売されている製品を選ぶと安心です。
成分表示やメーカーの推奨頻度をよく確認して、「安心・安全なものを、少しずつ」与えることを意識しています。
リクガメに与えてはいけない野菜と果物
中毒や下痢の原因になるNG食材とは?
リクガメに絶対に与えてはいけない食材として、
- ホウレンソウ
- ネギ類
- ジャガイモ
- トマト
- アボカド
これらは一見すると色鮮やかで「栄養がありそう」と感じるかもしれませんが、実際にはリクガメの体にとっては危険な成分が含まれていることが多いです。
例えばホウレンソウにはシュウ酸が多く含まれていて。
これが体内のカルシウムと結びついて不溶性の塩となりますが、せっかく与えたカルシウムの吸収を邪魔してしまいます。
長期的に摂取すると、カルシウム不足による骨の異常や甲羅の変形につながる可能性も。
ネギ類(玉ねぎ・長ネギ・にら)に含まれるアリルプロピルジスルファイドは、貧血や胃腸障害の原因になる成分で、リクガメにとっては非常に有害です。
また、ジャガイモの芽や皮にはソラニンという毒素が含まれ、トマトは未熟な実や葉・茎の部分にアルカロイド系の有毒物質があるとされます。
アボカドに至っては、ペルシンという成分が中毒症状を引き起こす危険性があるため、絶対に避けたい食材のひとつです。
見た目がキレイで、つい「ちょっとくらいなら」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、カメの体はとても小さく、少量の毒素でも大きなダメージになってしまいます。
少量でも危険!?あげない方がいい理由を解説
人間にとっては栄養満点の食材も、カメにとっては毒になることがあります。
たとえば、「うちの子はネギの匂いに近づかないから大丈夫」と思っていても、誤って他の野菜と一緒に口に入れてしまうこともありますし、
調理のときに手についていた残留成分から体調を崩すこともあるほどです。
「ほんのちょっとならいいでしょ?」と軽く考える前に、リクガメの体はとてもデリケートで、人間の何十分の一の大きさしかありません。
そのぶん、体に取り込まれるものの影響も何倍にもなってしまうのです。
また、食材によっては症状がすぐに出ないこともあり、数日たってから下痢や食欲不振として現れるケースも。
原因がわかりにくいため、「あれが悪かったのかな?」と気づくまでに時間がかかることもあります。
リクガメの健康を守るには、「あげない勇気」も必要です。
かわいいからこそ、安全な食材だけを選んであげたいですね。
食欲がないときにチェックしたいポイント
季節?ストレス?病気?まずは原因を探ろう
ある日突然、餌に見向きもしなくなったときの不安…すごくわかります。
普段はモリモリ食べていたのに、急に興味を示さなくなると「まさか病気?」と焦ってしまいますよね。
我が家の子も、季節の変わり目に全く食べない時期がありました。
春先や秋の気温差が大きい時期、湿度の変化に敏感だったのか、口をつけずにシェルターに引きこもってしまうことがありました。
環境の変化や紫外線不足、シェルターの配置まで、思い当たることはすべて見直しました。
中でも意外だったのが、照明の位置。
少し角度を変えて照射範囲が広がっただけで、少しずつ活動量が戻ってきたんです。
食欲不振は体調不良のサインかもしれません。
脱水、寄生虫、口内炎なども可能性として考えられます。
動きが鈍くなったり、目がしょぼしょぼしていたり、呼吸音が変だったりしたら、すぐに爬虫類に詳しい獣医さんに相談しましょう。
「少しくらいなら様子見で…」と思いがちですが、小さな体の変化こそ早めにキャッチするのが大切です。
うちの子が食べた!食欲を取り戻した工夫
うちでは、野菜をちょっと温めて香りを立てたら食べてくれたことがあります。
具体的には、レンジで5~10秒ほど温めて、ふんわりと香りを引き出す感じ。
葉物野菜は加熱しすぎると栄養が損なわれるので、ほんのひと手間でOKです。
また、日光浴の時間を増やしたら自然と元気が戻ったこともありました。
紫外線不足が食欲に影響していたようで、1日15分から30分に増やしただけで明らかに動きが活発になりました。
そのほかには、餌皿の位置を変えてみたり、床材の交換で気分転換を図ったりもしました。
香りの強い野菜(モロヘイヤやルッコラなど)をあげてみると、ふいに「ガブッ」と食べてくれることもあります。
「なんで食べないの?」
「どうしたら食べてくれるの?」
そんなもどかしさを感じてるなら、ぜひ一度“香り”と“光”、それに“環境のちょっとした変化”を試してみてください。
小さな変化がきっかけで、またモリモリ食べてくれるようになる日がきっと来ます。
焦らず、でもしっかり観察して寄り添うこと。
それが、カメちゃんとの信頼関係を深めるいちばんの近道かもしれません。
まとめ
リクガメの餌選びは「栄養バランス」より「自然に近い食生活」がキーワード。
ついつい人間の感覚で「いろんなものをちょっとずつ食べれば健康にいいはず」と思いがちです。
ですが、リクガメにとっては“いつも同じでも安心できるシンプルなごはん”こそが、身体にやさしくて心地いい食事なんだと思います。
主食は葉物中心、副菜や果物は控えめに。
カルシウムや紫外線も忘れずに。
見た目の彩りよりも、毎日コツコツ続けられる内容のほうが、リクガメの健康にはよっぽど効果的だと感じています。
そして、食べないときは“気持ち”と“環境”に寄り添うことが何より大切です。
ただ餌を変えるだけではなく、光のあたり具合や室温、落ち着ける場所の有無…ほんのちょっとした変化が、食欲を左右することもあります。
私自身、たくさん悩みながらも少しずつ「この子に合うごはん」や「この子のペース」を見つけてきました。
最初のうちは心配ばかりでしたが、今ではその過程さえも楽しく感じられるようになりました。
だからこそ、これからリクガメと暮らすあなたにも、毎日の食事の時間が「悩みのタネ」ではなく、「ちょっとした幸せ」になることを心から願っています。
お腹も心も満たされたリクガメとの日々は、静かだけどあたたかく、本当にかけがえのない宝物です。
その宝物は、あなたが選んだ“ひとつひとつのごはん”から、きっと始まりますよ。