小学校の放課後に利用できる施設である「学童保育」。
地域によっては、「放課後児童クラブ」とも呼ばれています。
そんな学童保育は、共働き家庭の増加と共に「施設数」「登録児童数」も増加傾向にあります。
けれど、学童保育には様々な辛いトラブルがあるのが現実です。
ここでは、学童保育の現場で働く「学童保育指導員」が抱えるトラブルや解決事例などをご紹介していきたいと思います。
学童保育の指導員は悩みが多い?みんなどんなことで悩んでいる?
厚生労働省が発表した令和3年の放課後児童健全育成事業の実施状況によると
- 登録児童数:1,348,275人
- 放課後児童クラブ数:26,925か所
参考URL:厚生労働省 令和4年 放課後児童健全育成事業の実施状況
登録者数と施設数の増加は共働き家庭の増加が大きな理由です。
でもその一方、現場で働く「学童保育指導員」の人手不足など、課題があるのも事実です。
そこで、学童保育で働く学童保育指導員の辛い悩みを見ていきたいと思います。
学童保育指導員の辛い悩み①子どもとの人間関係
学童保育は、子どもが過ごす場所。
多かれ少なかれ、どの学童保育でも子どもとの人間関係に悩みを抱えています。
特に小学1年生など低学年の子どもは、親元から離れたことで精神的に不安定になり、学童保育指導員に心を開かない子どももいます。
子どもと十分なコミュニケーションがとれないことで、保護者や他のご家庭を巻き込むトラブルが起こる場合があります。
他にも学童保育指導員に対して「暴言を吐く」「暴力を振るう」子どもいて、トラブルにつながることもあります。
もちろん、学童保育指導員に対してだけでなく子ども同士でのトラブルも大きな悩みの種です。
学童保育指導員の辛い悩み②保護者との人間関係
学童に子どもを預けている保護者の中には、学童保育指導員に対して無理難題を言う「モンスターペアレント」もいます。
例えば、学校と家との送迎バスを用意するようお願いしてきたり、教師や学童保育指導員に学校と家との送迎を求める親もいます。
こういったモンスターペアレントをはじめ、保護者との人間関係も学童保育指導員が抱える悩みの一つです。
学童保育指導員の辛い悩み③学童保育指導員不足
年々増加する学童保育の登録者数。
それに対して、学童保育指導員不足が大きな課題です。
学童保育指導員が不足しているということは、学童保育の待機児童数が増えることにつながります。
令和3年の待機児童数は、13,416人で令和2年と比較すると2,579人減少はしていますが。
職員が不足する中での登録者数の増加は、保育の質への課題へとつながります。
参考URL:厚生労働省 令和4年 放課後児童健全育成事業の実施状況
学童保育指導員の辛い悩み④雇用条件の悪さ
学童保育指導員という仕事は、登録者数が増加していることもあり必要とされている一方で。
給与面などの雇用条件が恵まれている仕事とは言えない、そんな現実があります。
学童保育指導員は、正規職員で年収約300万円前後。
能力や資格が給与に反映されることも少なく、昇給もほとんど期待できません。
また、正規職員募集は限られていて、学童保育指導員のほとんどが契約社員やパート、アルバイトなどの非正規雇用なのです。
さらに、子ども相手の仕事は予期せぬトラブルの連続であるため、残業や保護者対応などで勤務時間も長くなりがちです。
- 給与
- 勤務時間の長さ
- 責任の重さ
学童保育指導員の辛い悩み⑤離職率が高い
お伝えした通り、学童保育指導員という仕事は決して雇用条件が良い仕事とは言えません。
そのため、離職率が高く、学童保育指導員の平均勤続年数は1年から3年と言われています。
厚生労働省発表の「入職率と離職率の推移」を参考にしてみると、1年間に会社を離職する人は約15%であることが分かります。
つまり、仕事を続ける人が100%-15%=85%、3年以上続けて仕事をする人に換算すると約61%の人が同じ職場で仕事を続けている計算になります。
参考URL:厚生労働省 令和2年 入職率と離職率の推移
それと比べるとやはり、学童保育指導員の離職率が高いことが分かります。
学童保育の指導員のトラブル解決策は?事例と保護者への対応の仕方も
学童保育では、
- 子ども同士のけんか
- 子どもや保護者への連絡ミス
- 保護者対応
保護者への謝罪やお詫びを後回しや怠っていると、学童保育に対する不信感にもつながるため、保護者対応は注意して行う必要があります。
そこで、学童保育指導員が保護者対応で気を付けておきたいポイントを5つ、解説していきたいと思います。
学童保育指導員が保護者対応で気を付けておきたいポイント①謝罪の機会の前に「分からない」「知らない」を無くしておく
保護者への謝罪の機会の前にトラブルの事実確認を行って、「分からない」「知らない」ということを無くしておくことが重要です。
「学童保育」など子どもを取り巻く現場では、少しでも現場に非がある場合、謝罪をする必要があります。
その時に、「分からない」「知らない」と言ってしまうと、謝罪で終わるはずのトラブルが引き延ばしになってしまうリスクがあります。
時系列に事実確認を行い、心からの謝罪・お詫びをすることがまず大切なのです。
学童保育指導員が保護者対応で気を付けておきたいポイント②謝罪の連絡は早めにする
学童保育でのトラブルの謝罪やお詫びの機会は、保護者から連絡が来る前に連絡をすることが重要です。
事実確認は大切ですが、事実確認に時間を費やしていると「連絡の遅さ」にも謝罪・お詫びが必要になってきます。
保護者からすると「こっちから連絡するまで報告してくれなかった。」「隠そうとしていた。」と、学童保育への不信感につながってしまいます。
学童保育指導員が保護者対応で気を付けておきたいポイント③保護者の話を聞くことに尽力する
謝罪やお詫びの機会では、保護者など相手の話を聞くことに尽力しましょう。
相手の話を聞いて、保護者と学童保育指導員の温度差を埋めることが重要なのです。
学童保育指導員側が「悪くない」と思っていると、それが態度や言動に出てしまい、どれだけ謝罪しても保護者は納得してくれません。
保護者側の温度を知るためにまず保護者の話を聞くことが円満なトラブル解決に重要なのです。
そして、保護者の気持ちや感情を理解したうえで、寄り添い、申し訳ない気持ちを素直伝えましょう。
学童保育指導員が保護者対応で気を付けておきたいポイント④言い訳から言わないこと
謝罪やお詫びの機会で学童保育指導員がやってはいけないことが「言い訳から言ってしまう」ことです。
- 見ていたつもりでしたが
- ここまでやったのですが
まずは、保護者の話を聞いて「ご意見ありがとうございます。」と伝えましょう。
保護者の話を聞いたうえで、学童保育指導員が「やったこと」を伝えることで、保護者も「そんなところまでやってくれたんだ。」と受け入れられる可能性があります。
学童保育指導員が保護者対応で気を付けておきたいポイント⑤学童保育指導員は子どもたちのサポート役であることを忘れない
「学童保育」など子どもを取り巻く現場では、「嫌なことを言われた」「物の取り合い」など些細なことで子ども同士のトラブルが起こります。
ここで、経験年数が浅い学童保育指導員は「自分が解決しなければ」と対応しようとします。
でも、トラブルの解決をするのは「子ども同士」であり、学童保育指導員はサポート役であることを忘れてはいけません。
子どもたち自身が、トラブルと向き合い解決方法を考えなければ、大人になっても自分たちでトラブルを解決できない人になってしまいます。
決してけんかをすることが悪いのではなく、けんかをきっかけに相手の思いを知ったり、理解し合う大切な機会にしてもらうのです。
サポート役である学童保育指導員は、けんかやトラブルの状況を記録しておきましょう。
- 何がきっかけでトラブルになったのか
- 子どもたちが言ったこと
- 子どもの気持ちや感情
- 指導員の声かけ
- 子どもたちは納得がいったのかいかなかったのか
- その後どのように過ごしているのか
指導員同士で共有することができたり、保護者対応もスムーズになります。
学童保育の指導員は辛いって本当?のまとめ
年々、施設数も登録児童数も増加傾向にある「学童保育」。
子どもを取り巻く現場では、子ども同士や保護者との人間関係など様々な辛いトラブルがあります。
学童保育指導員としては、辛いことが多い学童保育ですが、トラブルの解決のポイントは
- 話を聞いて温度差を埋めること
- 相手の思いに寄り添うこと
ぜひ、今抱えている悩みの参考と励みにしてみてくださいね。