
子どもが手のひらに小さなバケツを抱えて、「これ飼いたい!」って帰ってきた。
中をのぞくと、黒っぽい小さな生き物がうにょうにょ泳いでる。
かわいいけど…正直、どうしたらいいの?って固まっちゃいますよね。
「水は水道水でいいの?」
「エサって何をあげるの?」
「というか、明日の朝には死んじゃってたりしない…?」
そんな不安で、今まさにスマホを握りしめているのかもしれません。
大丈夫です。
おたまじゃくしの世話は、実はそんなにむずかしくありません。
家にあるものでも今日から始められて、いくつかのコツさえ押さえれば、ちゃんとカエルになるまで見届けられます。
この記事では、生き物を飼った経験がほとんどない方でも迷わないように、最低限これだけ守れば大丈夫という流れを、ひとつずつやさしくお伝えしていきます。
読み終わるころには、「これならうちでもできそう」と肩の力が抜けているはずです。
おたまじゃくしは家にあるもので今日から飼えます
特別な道具をそろえなくても、おたまじゃくしの世話は始められます。
用意するのは、フタのできる容器と、汲み置きした水、そして家にある野菜やごはん粒くらい。
死なせてしまう原因のほとんどは「水の汚れ」と「水温の上がりすぎ」で、この2つに気をつけるだけで生存率はぐっと上がります。
「ちゃんとした水槽を買わなきゃ」「専用のエサがいるんじゃ」と身構えてしまいがちですが、焦らなくて大丈夫。
まずは家にあるもので始めて、必要そうなら少しずつ足していけばいいんです。
今日からできることばかりなので、ひとつずつ見ていきましょうね。
むずかしくない理由はお世話のポイントが少ないから
おたまじゃくしの世話がそれほど大変ではないのは、気をつけるポイントがシンプルだからです。
毎日つきっきりで何かをする必要はなく、押さえるところさえ押さえれば、あとは見守るだけ。
ここでは「なぜそれで大丈夫なのか」を、理由から順番にお話ししていきます。
死なせてしまう原因の多くは決まっている
おたまじゃくしがうまく育たないとき、その原因は意外と限られています。
ひとつずつ知っておくと、「これさえ避ければいい」という安心につながります。
いちばん多いのは水が汚れること
食べ残しやフンで水が汚れると、水質が一気に悪くなります。
死んでしまう原因として最も多いのが、この水の汚れです。
エサをあげすぎて食べ残しが腐ってしまうのも、結局は水を汚すことにつながります。
だからこそ、エサは食べきれる量にして、汚れたら取り替える。
これがいちばん大事な習慣になります。
夏場の水温の上がりすぎも危険
直射日光が当たる場所に置くと、水の温度がぐんぐん上がってしまいます。
おたまじゃくしは急な高温に弱く、弱って死んでしまうことがあります。
目安としては23〜25度くらいが過ごしやすいとされています。
窓辺やベランダの日なたは要注意。
涼しい日陰を選んであげてくださいね。
カエルになる時期の溺れに注意
意外と見落としがちなのが、後ろ足が生えてきたあとのこと。
おたまじゃくしはエラで呼吸していますが、カエルに近づくと肺呼吸に切り替わっていきます。
このとき水から上がれる場所がないと、溺れてしまうことがあるんです。
後ろ足が見えてきたら、陸地を用意するサイン。
これは後ほど詳しくお話ししますね。
毎日大がかりなことをしなくていい
世話というと「毎日水を替えて、エサをたっぷり」とイメージするかもしれませんが、おたまじゃくしの場合はむしろ逆。
かまいすぎないほうがうまくいくことも多いんです。
水替えは数日に一度で十分
水替えは毎日する必要はありません。
だいたい3〜5日に1回くらいが目安とされています。
しかも一度に全部替えるのではなく、半分から3分の1ほどを新しい水に入れ替えるのがコツ。
全部替えてしまうと環境が急に変わって、かえって弱ってしまうことがあるからです。
エサは少なめがちょうどいい
たくさん食べさせたほうが元気に育つ気がしますが、実はエサのやりすぎが水を汚す大きな原因。
5分から1時間ほどで食べきれる量を1日1〜2回、これくらいで十分なんです。
食べ残しはこまめに取り除いてあげると、水がきれいに保てます。
家にあるもので必要なものはそろう
専用品を買いそろえなくても、世話に必要なものは身の回りで間に合います。
お金をかけずに始められるのも、おたまじゃくし飼育の気楽なところです。
我が家も最初はあわてて百均に走ろうとしたんですが、結局キッチンにあった大きめのタッパーと、ペットボトルに汲み置きしておいた水で十分でした。
エサも、夕飯用に茹でたほうれん草をほんの少し取り分けただけ。
わざわざ買い足したものはゼロでした。
これだけ守れば大丈夫なお世話の流れ
ここからは、実際にどうやって世話をしていくのかを具体的にお伝えします。
水のこと、エサのこと、容器や置き場所のこと。
順番に押さえていけば、初めてでも迷わずに進められますよ。
それぞれにちょっとした注意点もあるので、あわせてお話ししますね。
水は汲み置きした水道水を使う
水道水には消毒のための成分(カルキ)が含まれていて、生き物にはあまりよくありません。
とはいえ、難しく考えなくて大丈夫。
1〜2日汲み置きするだけでいい
バケツやペットボトルに水道水を入れて、1〜2日ほど置いておくだけでカルキは抜けていきます。
日の当たる場所に置いておくと、より抜けやすくなるとされています。
急ぐときは、ペットショップやホームセンターで売っているカルキ抜き剤を使えばすぐに使える状態になります。
最初は捕まえた場所の水を使うと安心
捕まえてきたとき、できればその場所の水も一緒に持ち帰っておくのがおすすめです。
最初はその水で飼い始めて、水替えのたびに少しずつ汲み置きの水道水に変えていくと、環境の変化がゆるやかになります。
水深は浅めにして、体の長さの2倍くらい、5センチ前後を目安にしてください。
深すぎると、カエルになりかけたとき水面に上がるのが大変になります。
エサは茹でた野菜やごはん粒から
エサ選びで悩む方は多いですが、特別なものは必要ありません。
おたまじゃくしは植物寄りの雑食なので、家にあるもので十分まかなえます。
定番はほうれん草や小松菜
昔から定番とされているのが、茹でたほうれん草や小松菜などの葉野菜です。
茹でてやわらかくしてから、細かくして与えます。
ほかにも、ごはん粒、パンくず、かつお節、煮干しを細かく砕いたもの、金魚のエサなども食べてくれます。
最初は茹でた葉野菜から始めて、慣れてきたら少しずつほかのものも試していくとよいとされています。
油もの・生野菜・生肉は避ける
逆に与えないほうがいいものもあります。
油分の多い食べ物、生の野菜、生肉はNGです。
とくに気をつけたいのが、袋に入ったカット野菜。
手軽だからとつい使いたくなりますが、保存のための薬品がついていることがあり、避けたほうが無難です。
かつお節や煮干しは塩分が気になるので、与えるならごく少量にしておくと安心です。
容器はフタができるものを選ぶ
容器は、プラスチックのケースや使わなくなった水槽、大きめのタッパーなど、水がためられるものなら何でもかまいません。
ただ、選ぶときにひとつだけ気にしてほしいことがあります。
おたまのうちはフタなし、カエルが近づいたらフタ必須
おたまじゃくしの間は、フタはなくても問題ありません。
むしろ空気が通ったほうがいいくらいです。
ただ、後ろ足と前足が生えてカエルに近づいてくると話は別。
カエルは壁を伝って登る脱走の名人なので、この時期にはフタが欠かせません。
気づいたら部屋のどこかにいた…なんてことにならないよう、早めに用意しておきましょう。
入れすぎると共食いすることがある
ひとつの容器にたくさん詰め込むと、エサや酸素が足りなくなって、おたまじゃくし同士で共食いが起きることがあります。
びっくりするかもしれませんが、これは珍しいことではありません。
数をしぼって、ゆったり飼ってあげるのが元気に育てるコツ。
死んでしまった子がいたら、水が汚れる前に早めに取り除いてあげてください。
置き場所は直射日光の当たらない涼しいところ
置き場所は、直射日光が当たらない室内の涼しい場所が基本です。
先ほどもお話ししたとおり、日なたは水温が上がりすぎて危険。
リビングの隅や玄関など、温度が安定していて、家族の目が届きやすい場所がおすすめです。
子どもと一緒に毎日のぞける場所だと、観察も楽しくなりますよね。
うちは最初、キッチンのカウンターに置いていたんですが、夕方になると西日が差し込むことに気づいて、あわてて廊下の棚に移動させました。
子どもが朝起きてすぐ「生きてる?」ってのぞきにいくのが日課になって、私のほうが観察にハマっちゃったくらいです。
カエルになったあとどうするか先に知っておくと安心
おたまじゃくしの世話に慣れてきたころ、必ず訪れるのが「カエルになったらどうする?」という場面です。
ここを先に知っておくと、いざというとき慌てずにすみます。
実はここが、いちばん悩む人が多いところなんです。
後ろ足が生えたら陸地を用意する
カエルへの変化は、後ろ足が生える、前足が生える、しっぽが短くなって消える、という順番で進みます。
後ろ足が見えてきたら、肺呼吸に切り替わっていくサイン。
石や植木鉢で水から上がれる場所を作る
このタイミングで、水から上がれる陸地を用意してあげてください。
大きめの石、植木鉢のかけら、流木、軽石などを、水面に向かって斜めのスロープになるように置きます。
垂直の壁だと登れないので、なだらかな坂にするのがポイント。
陸地がないと、せっかくカエルになりかけたのに溺れてしまうことがあります。
後ろ足を見つけたら陸地、と覚えておくと安心です。
カエルになると世話の難しさが上がる
正直にお伝えすると、カエルになってからのほうが、おたまじゃくしの時期よりずっと手がかかります。
ここは知らずにいると戸惑うポイントなので、先に触れておきますね。
カエルは生きた虫しか食べなくなる
おたまじゃくしのうちは野菜やごはん粒を食べてくれますが、カエルになると生きた虫しか食べなくなります。
しかも上陸したばかりの子ガエルはとても小さく、合うエサはアブラムシやトビムシ、小さなコオロギなど。
これを毎日確保し続けるのは、なかなか大変です。
「カエルになるたびにすぐ死なせてしまった」という話の多くは、このエサの問題が原因だったりします。
逃がすなら必ず捕まえた場所へ
カエルになったあとの選択肢は、おおきく分けて「飼い続ける」か「自然に戻す」か。
エサの確保がむずかしいと感じたら、無理せず自然に戻すのもやさしい選択です。
別の場所に放すのは絶対にしない
ただし、戻すときに絶対に守ってほしいことがあります。
逃がすのは、必ず捕まえたその場所にしてください。
違う場所に放すと、その地域にいなかった生き物や病気を持ち込んでしまい、もともとそこにいた生き物に大きな影響を与えてしまうことがあります。
旅行先やおじいちゃんの家の近くで捕まえた場合でも、近所の川や池に放すのはやめましょう。
大きすぎるおたまはウシガエルかもしれない
もうひとつ、知っておいてほしいことがあります。
捕まえたおたまじゃくしが4センチを超えるほど大きい場合、ウシガエルという外来種の可能性があります。
ウシガエルは法律で飼うことも運ぶことも放すことも禁止されています。
もし「やけに大きいな」と思ったら、お住まいの地域の環境事務所などに相談してみてください。
判断に迷ったら、自分で抱え込まずに問い合わせるのがいちばんです。
うちはカエルになり始めたとき、毎日虫を捕まえてくる自信がなくて、子どもと相談して捕まえた田んぼに戻すことにしました。
「大きくなったからおうちに帰るんだよ」って話したら、最初はさみしそうでしたが、ちゃんと納得してくれて。
あの会話は、今でもいい思い出です。
初めてでも大丈夫おたまじゃくしの世話のまとめ
ここまでお伝えしてきたことを、最後にぎゅっとまとめておきますね。
覚えることはそんなに多くありません。
- 水は1〜2日汲み置きした水道水を使い、水深は5センチ前後と浅めにする
- エサは茹でた葉野菜やごはん粒を、食べきれる量だけ1日1〜2回あげる
- 容器はフタができるものを選び、カエルが近づいたらフタを必ず閉める
- 置き場所は直射日光を避けて、涼しい室内に置く
- 水替えは3〜5日に1回、半分くらいずつ替える
- 後ろ足が生えたら、水から上がれる陸地を用意する
- 逃がすときは必ず捕まえた場所に戻す
死なせてしまう原因の多くは水の汚れと水温の上がりすぎ。
逆にいえば、ここに気をつけてあげるだけで、生き残ってくれる確率はぐっと高くなるんです。
子どもと一緒に小さな命の変化を楽しんで
おたまじゃくしの世話は、思っていたより気軽に始められそうだと感じてもらえたでしょうか。
最初は不安でいっぱいだったと思いますが、ポイントさえ押さえれば、あとは子どもと一緒にのんびり見守るだけ。
後ろ足が出てきた、前足も生えてきた、しっぽが短くなってきた。
毎日少しずつ変わっていく様子を子どもと眺める時間は、きっと特別な思い出になります。
うまくいかない日もあるかもしれません。
でも、それも含めて小さな命と向き合った経験は、子どもにとってかけがえのないものになるはずです。
完璧じゃなくていいんです。
今日できることから、肩の力を抜いて始めてみる。
そんなふうにこの夏を過ごせたら、すてきですよね。
