
健康診断や職場の検便キットを開けてみたら、採便シートなるものが入っていて「これ、どうやって使うの…?」と戸惑ってしまった経験はないでしょうか。
説明書を読んでもなんとなくイメージが湧かなかったり、いざやってみたら便が水に落ちてしまったり。
初めてだと本当に困りますよね。
この記事では、採便シートの正しい使い方から失敗しないためのコツまで、順を追ってわかりやすくお伝えします。
これを読めば、次の検便をスムーズに終わらせることができますよ。
採便シートはトイレの水面に敷いて、普通に座って排便するだけ
結論から言うと、採便シートの使い方はとてもシンプルです。
洋式トイレの水面にシートを広げて敷き、普段どおりの姿勢で排便したら、付属のスティックで便を少量採取する。
たったこれだけです。
「え、それだけ?」と思われるかもしれませんが、慣れていないと意外と戸惑うポイントがいくつかあります。
どのくらいの量を取ればいいのか、シートが沈んでしまったらどうするのか、採取後はどう処理すればいいのか……。
次のセクションでひとつひとつ丁寧に解説していきますので、安心して読み進めてください。
採便シートは、便を水に濡れさせないために開発されたアイテムです。
便が水に触れると血液成分が洗い流されてしまって、
- 便潜血検査(大腸がんの早期発見を目的としたスクリーニング)
- サルモネラ・O-157などの食中毒菌を調べる腸内細菌検査
検査機関や病院が採便シートの使用を推奨しているのは、あなたの検査結果を正確に出すためなんです。
採便シートが必要な理由と正しい使い方の手順
採便シートを初めて見た方の多くが「なんでこんなものが入っているんだろう?」と感じるようです。
まずはその役割から理解すると、正しい使い方がスッと頭に入ってきます。
採便シートの役割:便を水から守るため
洋式トイレは構造上、排便すると便が水の中に落ちてしまいます。
便が水に浸かってしまうと、血液成分が水に流れてしまい、検査結果の精度が下がってしまう恐れがあります。
採便シートはこれを防ぐために、便が水に触れないよう水面でキャッチする役割を担っています。
採便シートは水に溶けやすい特殊な紙でできており、採取が終わったらそのままトイレに流せる仕組みになっています。
以前は新聞紙やチラシを代わりに使う方法もありましたが、後始末が面倒なうえ、燃えるゴミとして捨てる必要があります。
採便シートはその手間がないのがうれしいところです。
採便シートの正しい使い方:5つのステップ
手順を順番に確認していきましょう。
STEP1:事前準備をしっかり行う
まず採便容器の外側に、名前や採取日などの必要事項を記入しておきましょう。
採便後に書こうとすると、手が汚れていたり焦ったりして書きにくくなります。
記入は採便前に済ませておくのが断然おすすめです。
また、ウォシュレット(温水洗浄便座)の自動洗浄機能がある場合は、必ず電源をオフにしてから始めてください。
採便中に水が飛んでしまうと、便が濡れて検査に影響が出てしまいます。
STEP2:採便シートをトイレの水面に敷く
排便の前に、採便シートをトイレの水面全体を覆うように広げて敷きます。
このとき、便器の水面をできるだけ広くカバーするように意識してください。
シートが小さく偏っていると、便がシートの外に落ちてしまうことがあります。
水の量が多いトイレの場合は、先にトイレットペーパーを2〜3枚水面に敷いてからその上に採便シートを置くと、シートが安定しやすくなります。
ただし、トイレットペーパーを大量に敷きすぎると詰まりの原因になるので、枚数は最小限にとどめましょう。
STEP3:普通の姿勢で排便する
シートを敷いたら、いつも通りの姿勢で排便します。
「逆向きに座って採る」という方法を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、採便シートを使えばその必要はありません。
普段と同じ姿勢でリラックスして排便できます。
私自身も採便シートを知る前は、逆向きに座って排便する方法を試したことがあります。
でもこれって、思っていたより難しいんですよね。
踏ん張りにくいし、タイミングも合わせづらいし。
それが採便シートを使うようになってから、「なんでもっと早く使わなかったんだろう」と感じました。
STEP4:素早く採便する
排便したら、できるだけ速やかに便を採取します。
時間が経つとシートが徐々に沈んでしまうことがあるためです。
付属のスティックで便の表面を複数箇所からこすり取るように採取します。
スティックの先端にある溝や穴の部分に便が入り込む程度が目安で、量としては「米粒1〜2粒分」をイメージしてください。
取りすぎると容器からあふれてしまうことがあるので注意が必要です。
初めて採取したとき、『米粒1〜2粒分ってこんなに少なくていいの?』と不安になって、ついつい多めに取ってしまっていました。
結果、容器の蓋を閉めるときに漏れそうになってヒヤリ…。
逆に少なすぎると『未採取』と判定されることもあるので、スティックの溝がしっかり埋まったら十分、くらいのイメージがちょうどいいと思います。
STEP5:蓋を閉めてシートを流す
採取したら、採便容器の蓋をしっかり閉めます。
一度閉めた蓋は再度開けないようにしましょう。
採便シートはそのままトイレに流してOKです。
採便後は石けんと流水で、爪の間や手首までしっかりと手洗いをしてください。
採便容器は直射日光や高温多湿を避けて保管し、できるだけ早く提出するようにしましょう。
冷蔵庫で保管する場合は、食品と直接触れないようにビニール袋に入れておくと安心です。
失敗しやすい3つのケースと対処法
採便シートを使っていても、うまくいかないことがあります。
よくある失敗パターンとその対処法を見ておきましょう。
ケース1:採便シートを敷く前に排便してしまった
うっかり先に排便してしまって、便が水の中に落ちてしまった場合は、その便は使わないほうが無難です。
便が水に浸かると血液成分が流れてしまい、検査精度に影響が出る可能性があります。
気持ちを切り替えて、次のタイミングで改めて採取しましょう。
採便容器には保存液が入っているものが多く、採取後1週間程度は提出できる場合がほとんどです。
ただし、キットに記載されている期限をよく確認するようにしてください。
検査の種類によって、水没の影響は違ってきます。
便潜血検査(大腸がん検診)の場合は水没した便では精度が落ちる可能性が高い一方、食中毒菌を調べる腸内細菌検査については影響が出にくいケースもあるとされています。
なので判断に迷ったときは、検査機関や提出先に直接相談するのが一番確実です。
ケース2:採便シートが水に沈んでしまった
シートが沈みやすいトイレでは、事前にトイレットペーパーを数枚水面に敷いてからシートを置くと安定します。
ただし、トイレットペーパーは詰まりの原因になるため、2〜3枚程度にとどめておきましょう。
また、採便シートによっては立体的な形状になっていて水没しにくいタイプ(「楽流カップ」など)も市販されています。
キット付属のシートでうまくいかない場合は、こういった市販の採便シートを別途購入して使うのも一つの方法です。
ケース3:下痢や軟便のときの採取に困った
下痢や軟便の場合は、スティックで便をかき混ぜるようにして採取する方法が効果的です。
水分の多い便はスティックに付着しにくいため、スティックの先端全体に便をしっかりと付けるようにしましょう。
水様状の部分だけを採取してしまうと「未採取」や「検査不能」と判定されることがあるので、できるだけ固形に近い部分を選んで採取するのがポイントです。
生理中に検便が重なってしまう方も少なくありません。
便潜血検査の場合は経血が混入すると、検査精度に影響が出る可能性があります。
なので、可能であれば日程をずらすのが望ましいとされているんです。
一方で、食中毒菌を調べる腸内細菌用の検便(職場の定期検便など)は、生理中でも基本的に影響はないとされています。
判断に迷ったら、提出先の検査機関に確認してみてくださいね。
採便でやってはいけないこと
最後に、採便でやってはいけないことを確認しておきましょう。
スティックを直接肛門に挿入して採取するのは、腸内を傷つける危険があるため絶対にNGです。
また、採便容器内の保存液を捨てたり他の容器に移し替えたりすることも避けてください。
採取した便は容器に詰め込まず、スティックの溝に乗る程度で十分です。
蓋を一度閉めたら再度開けないこと、そして採便後は1週間以内を目安に提出することも、正確な検査のために大切なポイントです。
抗生物質を服用している場合は、「服用後数日程度空けてから採便するように」といわれることがあります。
抗生物質が、腸内細菌の検査結果に影響することがあるためです。
服薬中の方は、提出先の検査機関や担当の医療機関に事前に相談しておくと安心です。
採便シートのコツを知れば、検便はもう怖くない
採便シートの使い方を改めて整理すると、次のとおりです。
- 排便前に採便容器への記入とウォシュレットのオフを済ませておく
- 水面全体を覆うようにシートを敷いてから排便する
- 便の表面を複数箇所からスティックでこすり取る(米粒1〜2粒分が目安)
- 蓋をしっかり閉めてシートをそのままトイレに流す
- 採便後は丁寧に手洗いをして、なるべく早く容器を提出する
採便シートは、慣れていないと少し戸惑うかもしれませんが、一度手順を覚えてしまえば決して難しいものではありません。
大切なのは「便を水に濡らさない」というたった一つのポイントです。これさえ守れれば、正確な検査結果を得ることができます。
もし検査結果が「陽性」だった場合でも、すぐに深刻に考える必要はありません。
便潜血検査の陽性は大腸がん以外にも、痔だとか腸炎など別の原因が考えられることも多くあります。
陽性の場合は速やかに医療機関を受診し、精密検査を受けることが大切です。
早期に発見・対処できれば、それだけ選択肢も広がりますよ。
検便は、自分自身の健康を守るための大切な検査の一歩です。
「面倒だな」と感じる気持ちはよくわかりますが、この記事を参考に、ぜひ落ち着いて取り組んでみてくださいね。
手順さえわかってしまえば、思っていたよりずっとスムーズにできるはずですよ。
「検便の提出日までに便が出ない焦りと準備の全体像」をまとめたページもあわせてどうぞ。
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