「少しでも家計の足しにしたいな」「そろそろ働きたいかも」そんなふうに思い始めたタイミングって、意外とみんな似てるんですよね。
子どもが少し大きくなって、ようやく手が離れてきたとき。
朝のバタバタが落ち着いてふと一息つけるようになったとき。
私もまさにそんな時期に、家事と育児だけじゃない自分の時間を持ちたいと感じて、働くことを考え始めました。
だけど、現実はそう簡単じゃないですよね。
「子育てしながら働く」って、思っていた以上にハードルが高いんです。
子どもが急に熱を出したらどうしよう。
「保育園の呼び出しがあったら抜けられる?」
「発表会や懇談会に参加できる?」
そうやって不安がいくつもよぎって、なかなか一歩を踏み出せなかった時期もありました。
それでもやっぱり、
「家計のために何かできることをしたい」
「子どもに背中を見せたい」
「自分の世界も大切にしたい」
そんな思いが消えなくて、私はまずパートから始めることにしました。
このページでは、そんな私自身の体験をもとに、パートと正社員、それぞれのメリットやデメリット、そして働き方の選び方について丁寧にお話ししていきます。
もちろん、家庭の事情や価値観によって正解は人それぞれ。
でもだからこそ、「どうすれば後悔しない選択ができるのか」を一緒に考えるきっかけになれたら嬉しいです。
自分と家族を大切にしながら、自分らしい働き方を見つけていきましょう。
パートで働くメリット・デメリット
「家庭優先で働ける」って、こんなに心強い
パートという働き方は、子育て中のママにとってまさに“やさしい入り口”だと感じています。
朝から晩までフルで働く正社員のような働き方に比べて、短時間で柔軟にシフトを組める職場も多く。
自分と家族のペースを大切にしながらお仕事ができるというのは、本当に大きな安心材料になります。
私がパートを選んだ理由も、まさに「家族の生活リズムを崩したくなかったから」でした。
子どもが幼稚園に行っている間の9時から13時だけ働くというスタイルは、お迎えにも間に合うし、お昼ごはんもゆっくり一緒に食べられる。
家に帰ってきた子どもの「ママ、おかえり!」の笑顔を見ながら「これでよかった」と思える瞬間が、何度もありました。
時間に追われて「ごめんね」を繰り返す働き方じゃなくて、ちゃんと「一緒にいる時間」を守れる。
それが、私にとってのパートのいちばんの魅力でした。
「子どもの体調不良に対応できる安心感」はパートならでは
子育てをしていると、本当に予想外のことの連続です。
朝は元気だったのに、保育園から「熱が出ました」と電話がかかってくることなんて、珍しくありませんよね。
そんなとき、パート勤務だと比較的早く対応できるという安心感があります。
もちろん職場によって違いはありますが、子育てママが多く在籍している環境だと「お互いさまだから大丈夫だよ」と声をかけてもらえることも多いです。
私も一度、勤務中に保育園から呼び出されたとき。
職場の上司に申し訳なさそうに「子どもが熱を出してしまって」と伝えたら、「それは仕方ないよ!すぐ行ってあげて」と笑顔で送り出してくれて。
あのときの気持ちは、今でも忘れられません。
もちろん、急な欠勤が続くと心苦しさを感じることもあるけれど、理解のある職場なら、そうした負い目を一人で抱えずに済むのがパートのいいところです。
「ちょっとだけ働きたい」が叶う柔軟性
子どもがまだ小さかったり、習い事の送り迎えが必要だったりすると、毎日フルで働くなんてとても無理。
でも、パートなら週2~3日からでも始められるところもありますし、
- 午前中だけ
- 曜日固定
私の周りのママ友も、みんな最初は「週に1~2回、気晴らしのつもりで…」と始めた人が多いんです。
それでもお給料が振り込まれたとき、「あ、私も少しは家計に貢献できたんだ」と思えて、ものすごく嬉しかったって話してくれて。
お金以上に、“役に立てている”という実感が自信に変わっていくんですよね。
働くことでリフレッシュできる、家とは違う自分になれる、そんな小さな積み重ねが日々の生活にハリを与えてくれます。
収入面の限界と「扶養の壁」のリアル
ただ、良いことばかりではありません。
正直、パートはどうしても収入が少なめです。
時給で働くスタイルなので、勤務時間が短ければその分しか稼げませんし、子どもの体調不良や学校行事で急に休んでしまうと、月収が大きく変動してしまうこともあります。
特に悩ましいのが、「扶養の壁」と言われる制度です。
例えば配偶者控除を受けるためには、年収103万円以下に抑える必要がありますし、社会保険の扶養内に収めるには年収130万円未満である必要があります。
※これらは2024年時点の基準であり、法改正などによって今後変わる可能性もあるため、最新情報は国税庁や勤務先などでご確認ください。
私も「もう少し働きたいな」と思ったとき、上司から「もっとシフト増やせる?」と聞かれたことがあります。
でも、その月だけ頑張りすぎると、扶養を外れてしまって、逆に手取りが減ってしまうというジレンマがあって……。
一度扶養から外れると、社会保険料や住民税などの支払いが発生し、結果的に家計への負担が増えることもあるんです。
だからこそ、「どれくらい働くか」は感覚で決めるのではなく、制度の仕組みをしっかり理解したうえで判断することが本当に大切です。
気軽に始められる一方で、キャリア形成の不安も
もうひとつ、見落としがちなポイントとして、「キャリアの積み上げが難しい」という側面もあります。
パートはあくまで補助的な立場であることが多く、責任ある仕事や昇給・昇格の機会が限られていることもあります。
「今は子育てが優先だから、キャリアは後回しでいい」と割り切れる時期もあるけれど、子どもが手を離れたときに「このままでいいのかな」と思い始めることもあるんですよね。
もちろん、パートで経験を積んでから正社員を目指すという道もありますし、近年では柔軟なキャリア支援制度を取り入れている企業も増えています。
でも、自分の将来像を少しでもイメージしておくことは、どんな働き方を選ぶにしてもきっとプラスになると思います。
正社員で働くメリット・デメリット
毎月のお給料とボーナスの安心感
正社員として働く魅力といえば、やっぱり「安定した収入」ですよね。
毎月きちんと決まった額のお給料が振り込まれるという安心感は、子育て家庭にとって大きな支えになります。
特に、子どもが成長するにつれて
- 教育費や習い事
- 予防接種や医療費
私のママ友の一人は、ずっとパート勤務だったのですが、子どもが小学校に上がるタイミングで思い切って正社員に切り替えたそうです。
「ボーナスがあるってすごい…」と、夏と冬の支給額を見て驚いていました。
正社員になると、社会保険や厚生年金への加入が義務になるぶん、将来の備えとしての安心感も増します。
もちろんその分、毎月の手取りは少し減るかもしれませんが、それでも「将来のためにちゃんと積み立てている」という実感は、自分自身の自信にもつながります。
また、会社によっては住宅手当や家族手当、産休・育休の取得支援が整っているところもあります。
制度の活用次第では、家庭との両立を図りながら、しっかりとした保障を受けられるのも正社員の強みだといえるでしょう。
任される責任と「やりがい」の芽生え
正社員になると、やっぱり仕事の内容もガラッと変わります。
責任のある仕事を任されるようになったり、プロジェクトの一員として動いたり、社内の会議に出たり。
最初は戸惑いもあるけれど、「自分が必要とされている」と感じられる瞬間が増えていくんですよね。
私の知人も、ある会社で契約社員から正社員になってから、社内研修の講師を任されたそうで。
「怖かったけど、すごくやりがいを感じた」って話してくれました。
パートのときには見えなかった“仕事の景色”が、正社員になることで少しずつ見えてくる。
その感覚は、育児だけに没頭していた頃の自分とはまた違った意味で、自信や達成感につながっていくと思います。
もちろん、責任あるポジションに立つということは、プレッシャーやミスへの不安もついてきます。
でもそのぶん、何かをやり遂げたときの「やったぞ!」という達成感は、何ものにも代えがたいです。
時間的な自由がききづらいもどかしさ
でも、正社員として働くうえでどうしても避けられないのが、「時間の縛り」です。
勤務時間が決まっていて、基本的にフルタイム。
保育園のお迎えや子どもの通院、学校行事などに柔軟に対応するのが難しくなるケースもあります。
私の経験でも、子どもの授業参観にどうしても行きたかったのに、有給の申請が通らなかったことがありました。
「仕方ないよね」と自分に言い聞かせたけれど、子どもがその日「ママ、来れなかったね」と寂しそうに言った顔が忘れられません。
こうした時間の融通がききにくい点は、子育て中の親にとって本当に大きな悩みのタネ。
特に「熱が出ました」や「ケガをしました」と保育園や学校から急に連絡がきたとき、すぐに抜けられない職場環境だと、胸が張り裂けそうになることもあります。
子どもを優先したい気持ちと、職場での責任との板挟みになるあの感覚。
罪悪感や無力感に押しつぶされそうになる日もありました。
だからこそ、正社員として働くときには、あらかじめ家族との役割分担や緊急時の対応をシミュレーションしておくことが本当に大事です。
自分のキャリアと「母としての自分」のバランス
もうひとつ、正社員になってから感じるようになったのが、「母である自分」と「働く自分」のバランスの取りづらさでした。
仕事にやりがいを感じれば感じるほど、子どもとの時間が減っていくことに罪悪感が芽生えてきたり、「私、母親としてこれでいいのかな」と不安になったり。
でも、あるとき子どもが言ってくれたんです。
「ママ、いつも頑張っててかっこいいね」って。
そのひと言がすごく胸に響いて、「あ、私が頑張る姿をちゃんと見てくれてたんだ」と思えて、少し涙が出ました。
正社員として働くことは大変だけど、それと同時に「ママだって頑張ってるんだよ」という姿を見せることでもあるんだと思います。
子どもが大きくなったとき、その背中が何かしらの支えになってくれるかもしれません。
もちろん無理は禁物です。
体調を崩してしまっては本末転倒なので、自分のペースや心の声に耳を傾けながら、「家庭」と「仕事」のバランスを取っていけるといいですね。
パートと正社員の切り替えを考えるときのポイント
「そろそろ正社員にならない?」と言われたときの葛藤
長くパートを続けていると、ある日突然、上司や同僚から声をかけられることがあります。
「そろそろ正社員、どう?」って。
もちろんありがたい話。
自分の仕事ぶりを認めてもらえたようで、嬉しくないわけがありません。
でも、その一方で、心の中にいろんな“ざわつき”が生まれてくるんですよね。
「子どもが急に熱を出したらどうしよう」
「毎日フルで働いて、体がもつのかな」
「家事は?夫は?私、全部ちゃんとこなせる?」
そんな不安が次から次へと押し寄せてきて、素直に「はい」と言えない自分がいました。
正社員になるというのは、ただ雇用形態が変わるだけじゃなくて、生活全体のリズムや家族との時間の過ごし方がガラッと変わる可能性があるということ。
だからこそ、「チャンスだから受けるべき」と焦るのではなく、「今の自分にとって、本当にベストなタイミングなのか」をしっかり見つめ直す時間が必要なんです。
判断の前に見ておきたい3つの視点
私が「正社員になるかどうか」で悩んだときに、何より大事だったのは、自分の生活を“現実的な目線”で見つめることでした。
①子どもの成長段階
まだ園児のうちは手がかかることが多くて、急な呼び出しも頻繁。
でも、小学生になると少しずつ自立してきて、放課後は学童や留守番もできるようになってくるんですよね。
「小学1年生」と「小学4年生」では、親が必要とされる密度がまったく違います。
②家族のサポート体制
「いざという時、夫は動ける?」「祖父母に頼れる?」「自分以外に、手助けしてくれる人はいる?」この視点を持っておくだけで、自分が倒れたときの“セーフティネット”がどれくらいあるのか見えてきます。
③自分の体力と気力
これ、見落としがちだけど本当に大事。
毎日フルで働くって、精神的にも体力的にも消耗します。
「気合い」だけでは乗り切れない。
今の自分がどれくらい余裕を持てているか。
無理しているサインに気づいてあげられるのは、自分しかいないんですよね。
この3つの視点を落ち着いて振り返ってみることで、「もう少しパートでいたほうがいいな」と思うのか。
それとも、「今がチャンスだから一歩踏み出してみよう」と思えるのか、心の中の答えが見えてくるはずです。
正社員からパートに戻りたくなったときの“勇気の出し方”
逆に、すでに正社員として働いているけれど、「やっぱり今の生活は厳しい」「子どもともっと一緒にいたい」と感じることもありますよね。
そんなとき、私は一番大切なのは「自分を責めないこと」だと思っています。
頑張ってきたからこそ気づけた限界や本音。
そこにフタをして無理を続けてしまうと、体も心も壊れてしまいます。
だから、「働き方を変えること=逃げること」なんかじゃなくて、「自分と家族を守る選択」だと考えていいんです。
でも、いざ職場に伝えようとすると、やっぱり怖いですよね。
「申し訳ない」
「迷惑をかけてしまうかも」
「どう思われるだろう」
そんな気持ちでいっぱいになる。
私の知人も、そんな葛藤を抱えながら上司に相談しました。
「子どもが小学校に上がったばかりで、家庭との両立が思った以上に大変で…」って。
そのとき、上司は「あなたらしく働ける方法を一緒に考えよう」と言ってくれたそうです。
涙が出るほど嬉しかったって、あとから話してくれました。
誠実に伝えれば、きっとわかってくれる人はいます。
「また戻ってきたいときは言ってね」と言ってくれる職場もあります。
だからこそ、自分の心の声に耳を傾けて、「今の私はどうしたい?」を大切にしてほしいんです。
「時間の融通」を最大化するための工夫
求人情報の「本音」を見極める目を持つ
働きたい。
でも子どもが小さかったり、予定が読めなかったりするなかで、時間に融通のきく職場を探すのって、正直かなりのハードルですよね。
私も最初は、求人情報を見ても「本当に柔軟に働けるの?」と疑心暗鬼になっていました。
「子育てママ歓迎」「時短勤務可」って書いてあると魅力的に見えるけれど、実際に働き出してみたら“名ばかり”だった……なんて話も珍しくないんです。
だからこそ、応募前の段階から「見るべきポイント」を押さえておくのがすごく大事。
たとえば、「急な休みにも対応可」「シフト融通ききます」という記載があるかどうか。
そして可能であれば、実際に働いている人の雰囲気や年齢層、子育て中のスタッフがどれくらいいるのかを見に行けると安心感がまったく違います。
私は一度、応募前に見学をお願いしてみたことがあるんですが、快く対応してもらえたことで。
「ここなら何かあっても相談できそうだな」と感じられて、その後の不安がぐっと減りました。
面接でも、「子どもが熱を出したときの対応」「学校行事への参加可否」などを具体的に聞いてみてくださいね。
聞きにくいかもしれませんが、自分を守るためにも、ここは遠慮せずにしっかり確認するのがポイントです。
「働く時間」を家族と一緒に設計する
子育てしながら働くって、自分ひとりで何とかしようとすると本当にしんどくなります。
だから私は、働き方を見直すときには必ず「夫とのすり合わせ」をしています。
これがあるのとないのとでは、日々のストレスがまったく違うんです。
たとえば、朝の送りは誰が担当するのか。
お迎えが遅れそうな日はどっちが対応するのか。
子どもが熱を出したとき、まずどちらが動けるのか。
こういう「よくあるシーン」をあらかじめシミュレーションしておくだけで、いざというときに慌てずに済むし、「なんでいつも私ばっかり…」という不満も減らせます。
私は以前、なんでも一人で抱え込んでいた時期があって、知らないうちにイライラがたまってしまっていたんです。
でも、ある日思いきって「もうちょっと分担してくれない?」と夫に伝えたら、拍子抜けするほどあっさり「いいよ」と言ってくれて。
そこから夫婦の関係もぐっとラクになりました。
働くというのは、家族みんなの生活にも影響を与えるもの。
だからこそ、夫婦で一緒に働き方を設計していく姿勢が、ほんとうに大切なんですよね。
「家庭」と「仕事」のバランスは人それぞれでいい
一番伝えたいのは、「みんながこうしてるから」「理想のワーママ像に近づかなきゃ」と思いすぎないでほしいということ。
私はずっと、「自分もフルタイムでバリバリ働かないといけないのかな」ってどこかで焦っていました。
でも現実は、そんなに器用じゃない。
子どもが泣いていたらそばにいたいし、熱を出したらすぐに抱きしめたい。
そんなふうに思う自分を、「弱い」とか「甘い」とか思わなくていいんです。
むしろそれは、“母としてのあたたかさ”なんだと、私は今なら思えます。
働き方って、環境も体力も家族構成も違う中で、「正解」なんてひとつもない。
時間の融通がきく働き方を探すのも、無理をしないための大切な工夫です。
あなたが心地よく、笑顔でいられる選択こそが、家族にとっても一番の幸せにつながっていくはずです。
まとめ:あなたにベストな働き方の見つけ方
パートでも正社員でも、どちらを選んだから正解ということはありません。
今のあなたの生活リズム、子どもの年齢、家族のサポート体制、そして何よりあなた自身の気持ちや体力。
すべてのバランスをふまえて、「今この瞬間の自分にとって、いちばん心地よい形は何か」を考えて選ぶことが何より大切です。
働き方の選択には、それぞれにメリットと課題があります。
パートなら時間の融通が利く一方で収入の壁に悩むこともあるし、正社員なら経済的な安定がある反面、時間的な縛りがつらくなることもある。
でもそのどちらも、やり方次第で心地よく、そして長く続けられる選択肢になるはずです。
焦って決める必要はありません。
何度でも見直していいし、働きながら気づいたことがあれば、方向転換しても大丈夫です。
制度や社会の仕組みは年々変化していますし、扶養の壁なども常に最新情報を確認しながら、自分の家庭に合った形で取り入れていけばいいと思います。
そして、何より大切なのは、働くあなた自身が無理をしすぎずに笑っていられること。
自分の幸せと家族の安心が両立できる、そんな“ちょうどいい働き方”を、これからもあなたらしく選び取っていってくださいね。