育休中の主婦の中には、「育休明けに会社から退職勧奨(たいしょくかんしょう)を強要されるのでは?」と不安を感じている人もいます。
でも、育休明けの退職勧奨は法律で正式に違法だと定められているので「拒否」することができます。
今回は、そんな育休明けに関する
「育休明けの退職勧奨など「マタハラ」への対処法」
「育休明けの有給の取得」
「日本の育児における大きな男女差」
について解説していきたいと思います。
育休明けに戻る場所がない!泣き寝入りしないようにするには?
育休明けの女性に退職勧奨をするような会社は、
「仕事と育児・家事の両立は大変だから家庭に入ったら?」
「異動を受け入れないなら解雇にするぞ!」
「業績が大変なんだよ…。」
など、様々な手口や巧妙な話術を使って、女性が泣き寝入りするのを待っています。
ですが、育休明けの退職勧奨は3つの法律で正式に「違法」だと定められています。
育休明けの退職勧奨が違法と定められている法律①労働基準法
まず1つ目の法律が”労働基準法の第19条「解雇制限」”です。
「労働基準法」では、「産前産後の女性は休業する期間及びその後の30日間は解雇してはならない」と明確に示されています。
育休明けの退職勧奨が違法と定められている法律②男女雇用機会均等法
2つ目の法律が、”男女雇用機会均等法の第9条妊娠・出産を理由とする不利益取り扱いの禁止」”です。
「男女雇用機会均等法」では、妊娠・出産を理由に女性を
- 解雇
- 降格
- 減給
育休明けの退職勧奨が違法と定められている法律③育児介護休業法
3つ目の法律が”育児介護休業法の第10条・16条「不利益取扱いの禁止」”です。
「育児介護休業法」では、育児休業や介護休業などの休業を理由に解雇することはできないというものです。
つまり、育休明けに退職勧奨を強要されそうな女性は、3つの法律を熟知して。
「会社には退職勧奨をすることはできない」ということを強気で伝えられる気持ちで立ち向かいましょう。
それでもどうしたら良いか分からない場合は、
- 時間を設定して会社と話し合いをする
- 労働局の雇用均等室に相談する
- 弁護士に相談する
育休明けの退職勧奨で悩んだら①時間を設定して会社と話し合いをする
まずは、会社と落ち着いて話し合うことをおススメします。
休憩室での立ち話などではなく、きちんと時間と場所を設けて温和に話し合えるのが理想的です。
また、会社に労働組合があるのであれば、労働組合を通して話し合うのも良いでしょう。
育休明けの退職勧奨で悩んだら②労働局の雇用均等室に相談する
各都道府県に設置されている労働局の「雇用均等室」に相談するのも一つです。
「雇用均等室」は、妊娠や出産・育休などを理由に不利益を被った人の相談にのってくれる機関です。
相談をすることで、会社に行政指導が入るなどのサポートを行ってもらえる場合もあります。
育休明けの退職勧奨で悩んだら③弁護士に相談する
弁護士に相談するということは、お金も気力も相当使うことになるのでできれば避けたい手段です。
ですが、どうしても許せない退職勧奨であれば、納得がいくまで会社と戦うのも一つです。
妊娠と出産は、会社に申し訳ないことではありません。
違法なことをしているのは、「会社」であることを忘れないようにしましょう。
マタハラは違法!慰謝料を請求も可能
そもそも、育休明けに会社に退職勧奨を強要されることは、「妊娠・育児をしている女性社員へのハラスメント」にあたります。
なので、マタニティハラスメント、通称「マタハラ」に当てはまります。
「退職勧奨」だけでなく、「嫌味」や「役割や仕事を無断で変える」こともマタハラに該当します。
そして、マタハラの特徴は女性従業員から受ける可能性もあるということです。
女性からのマタハラの多くは「嫌味」。
「妬み」や「恨み」が背景にあることを覚えておいてくださいね。
とは言え、マタハラは「男女雇用機会均等法」や「育児介護休業法」の改正に伴って違法だと定められています。
女性からの恨みや妬みであろうと苦しむ必要はありません。
堂々と証拠を集めておいて「違法」だと伝えましょう。
しつこいマタハラには慰謝料の請求も検討を
それでもマタハラを繰り返される場合は
- 労働条件の回復を専門部署に求めたり
- 弁護士に相談したり
- 慰謝料を請求する
マタハラの慰謝料は、内容に合わせて異なりますが、
- <軽度のマタハラの場合>
20万円~30万円 - <解雇や女性の健康被害が大きい場合>
200万円以上
特に、マタハラによる精神的苦痛は、女性の母体へのストレスが高まったり、お腹の赤ちゃんに悪影響がでる可能性があります。
もし、マタハラが原因で赤ちゃんが流産・死産した場合、マタハラをした会社はどのように責任をとってくれるのでしょうか?
おそらく示談やお金で済まされるのでしょう。
でも、流産や死産は示談やお金で済む話ではありません。
女性は一生苦しみ続けなければいけません。
それほど、「マタハラは違法!」であることを覚えておいてくださいね。
育休明けの退職を勧奨されたが有給休暇の消化はできる!?
育休期間は、有給休暇の計算上「出勤」という扱いになるため、育休中でも有給は溜まっていきます
そして、もちろん退職勧奨を強要された場合でも有給は発生し、取得できます。
ですが、「育休明け→有給消化→退職」という流れは、会社としては好ましくない流れです。
そもそも育休は、会社に復帰する前提で受けられる制度です。
育休中に退職を決めたとしても、育休明け会社には出向く方が良いでしょう。
また、ご自身が「育休明け→有給消化→退職」という形で退職をしてしまうと、今後産休・育休を取得する人の捉えられ方も変わってしまいます。
一度は勤務した会社で、産休・育休を取得した会社です。
トラブルを避けるために育休明けの有給の取得、そして退職は会社とよく話し合って決めましょう。
ここまで女性の課題として退職勧奨やマタハラ・有給などのお話をしてきました。
だけど、妊娠・出産にまつわることは女性だけが抱える問題でしょうか?
2022年の10月から導入された「産後パパ育休」や同時改正された「育児休業」など。
旦那さんである男性も育児や家事に積極的になるべき時代なのです。
「産後パパ育休」の導入
「産後パパ育休」は、赤ちゃんが生まれた出生日から8週間以内に最長4週間休みを取得できる制度のこと。
生まれてすぐの4週間でも、終わりから4週間でも、2週間ずつ2回に分けても良い制度です。
出産後すぐには動きずらい主婦にはありがたいで制度ではないでしょうか。
また、仕事を続けて休みにくい男性は、分割して休みを取得できるのは嬉しいですね。
「育児休業」の改正
そして、以前の「育児休業」は赤ちゃんが1歳になるまで1度しか取得できませんでしたが、改正後は2回に分けて取得できるようになりました。
また、赤ちゃんが保育園に入園できず待機児童になってしまった場合など、育休の延長がやむを得ない場合も大丈夫です。
子どもが2歳になるまで育休を延長することができるようになりました。
つまり、夫婦で柔軟的に育休を取得することで、子育てが協力し合いやすくなったのです。
日本のジェンダーギャップ指数は146ヶ国中125位という結果
ただし!
「産後パパ育休」の導入や「育児休業」の改正などはされても、今の日本には大きな課題があります。
それは、日本の男女格差「ジェンダーギャップ」です。
世界経済フォーラム「World Economic Forum」、通称「WEF」が6月21日に世界男女格差報告書「Global Gender Gap Report」を発表しました。
その結果、日本のジェンダーギャップ指数は146ヶ国中でなんと125位。
過去最低の順位だったのです。
参考URL:(世界経済フォーラム ジェンダー・ギャップ指数)
日本の育休制度自体は、先進国の中でも評価を得ている制度なんです。
それなのに育休制度を取得しきれていないことが、ジェンダー・ギャップ指数の結果につながっていると考えられます。
「男性の育休取得」
↓
「女性の社会復帰のスムーズ化」
↓
「女性の離職率の低下」
↓
「仕事・育児・家事の男女平等」
というサイクルが生まれるのではないでしょうか。
今、日本は男性の育休取得を会社が後押しできることが大きな課題ですね。
育休明けの退職勧奨は拒否できる?のまとめ
育休明けに会社から退職勧奨を強要されないか心配しているママの皆さん!
安心しましょう。
育休明けに会社から退職勧奨されることは3つの法律で「違法」とされています。
退職する意思がない場合は、退職を受け入れない強い意志をもっておいてくださいね。
そして、有給や旦那さんの「産後パパ育休」や「育児休業」なども上手く取り入れてワンオペ育児にならないように心身いたわってくださいね。
そして、何よりも「育児が楽しい」と思えるように「夫婦で」歩み寄ってくださいね。