仕事でうっかりミスをしてしまったとき、「始末書」や「顛末書」を提出してくださいと言われて、どうしたらいいのか困ってしまったことはありませんか?
名前は知っているけど、実際にはどんな意味があって、どう使い分ければいいのか、詳しくはわからないという方も多いのではないでしょうか。
始末書と顛末書、どちらも会社でトラブルやミスが起きたときに関係してくる書類ですが、その役割や意味合いは実は大きく違います。
「どっちが重いの?」「書くときはどうすればいいの?」といった疑問がわいてくるのも当然のことです。
この記事では、そんな疑問に丁寧にお答えしながら、
「始末書と顛末書の違いって何?」
「それぞれの意味や立場は?」
といったポイントをわかりやすく解説していきます。
また、もし実際に書くことになったときのために、心構えや注意点、上手な対処法までお伝えします。
会社で働いていると、いつ誰にでも起こり得ることだからこそ、事前に知っておくと安心ですよ。
始末書と顛末書の意味と役割の違い
顛末書は起きた事実の報告が目的
顛末書は、仕事中にミスやトラブルが発生したときに、「実際に何が起きたのか」を会社に対して正確に報告するための書類です。
たとえば、商品を誤って多く発注してしまった、書類の提出が遅れた、手続きに不備があった…など、業務上のミスがあったときに使われます。
ポイントは、その出来事の原因や背景、そして経緯をなるべく客観的に、感情を交えずにまとめるということです。
顛末書では、「どんなミスがあったのか」「なぜそのミスが起きたのか」といった事実を整理して書いていきます。
謝罪の言葉や個人的な反省は含まないのが一般的で、冷静に事実を時系列で書くことが求められます。
つまり、「反省文」ではなく、「事実報告書」としての役割を担っているんですね。
たとえば、
「5個注文すべきところを50個注文した」
「原因は確認フローが存在せず、1人で作業していたため」
など、誰が読んでも事実が明確に伝わるように書くことが大切です。
始末書は謝罪と改善策まで含める重い書類
一方で、始末書は顛末書よりもさらに一歩踏み込んだ内容になります。
顛末書に書くような
- 何が起きたのか
- なぜそれが起こったのか
- そのミスに対して自分が責任を感じていること
- 心から反省していること
- 今後はどう改善していくのか
たとえば、
今後は複数人による確認体制を設け、同様のミスを繰り返さないように努めます
このように、始末書には「自分の非を認め、責任を受け入れる」という強い意味合いがあります。
だからこそ、場合によっては懲戒処分の材料になったり、会社内での立場に影響することもあるんですね。
実際に、始末書の提出と同時に、減給処分が下されたという事例もあります。
こうした背景があるため、始末書は顛末書よりも重いとされているのです。
どっちが重い?結論:始末書のほうが重い理由
顛末書と始末書、どちらが重いのかといえば、答えは「始末書」です。
これは内容の違いだけでなく、文書が持つ意味や後に与える影響にも大きな差があるからなんですね。
まず顛末書についてですが、これは業務命令の一部として求められることが多い文書です。
上司や管理職の方から「何が起きたのかを報告してほしい」と言われたときに書く、いわゆる“報告書”の一種です。
目的はあくまでも、ミスやトラブルの発生原因や経緯を客観的に明らかにすること。
そのため、書いたからといってすぐに処分につながることはあまりなく、社内での事実整理に使われるケースが多いんです。
これに対して始末書は、性質がガラリと変わります。
始末書には「自分の責任を認めて反省し、今後同じことが起きないように改善していく」という意思を明文化する役割があるんですね。
そのため、ただの報告ではなく、自分の過失を自覚して謝罪し、二度と繰り返さないことを誓うような文書になります。
さらに、始末書の提出が懲戒処分の一環として扱われることもあるため、実際の影響は大きいです。
たとえば、始末書の提出とともに給与の一部が減額されたり、一定期間の職務制限が課されたりといった事例も見られます。
過去には、「1か月間の給与を3%カットされた」というケースもあるくらいです。
また、始末書は本人が書くことに法的な重みがある文書なので、強制することができない一方で。
いざ始末書を提出すると、その内容が“本人の認めた証拠”として使われることもあります。
つまり、自分の言葉で責任を明確にすることで、将来的な処分や評価に直結してしまう可能性もあるということなんです。
こうしたことから見ても、始末書は単なる事実報告にとどまらず、個人の反省や誓約を伴う
「重みのある文書」
であり、顛末書よりもはるかに影響力が大きい書類だと言えるのです。
始末書と顛末書、書くときの注意点と心構え
顛末書は事実を冷静に書くことがポイント
顛末書では、感情的な謝罪や主観的な意見は控えましょう。
あくまでも、何が起きたのか、なぜ起きたのかという「事実」にフォーカスして、冷静に書き進めることが大切です。
読む相手は上司や会社の関係者なので、読みやすく分かりやすい文にすることも意識しておくと安心です。
たとえば「商品を5個発注するところを50個発注してしまった」というようなミスがあった場合。
そのままでは何が問題だったのか分かりにくいので、「当初は5個発注する予定でしたが、確認を怠ったため50個発注してしまいました」といったように、簡潔に説明する工夫も必要です。
原因についても、「なぜそのようなことが起きたのか」を丁寧に説明しましょう。
「確認体制が不十分で、担当者が1人で処理していたため気づけなかった」など、客観的かつ具体的に書くと、再発防止にもつながります。
顛末書は、「自分を弁護する文書」ではなく、「ミスの流れや原因を社内で共有するための報告書」としての役割があります。
感情的な表現や曖昧な表現は避け、誰が読んでも理解できるように意識して書いてみてくださいね。
始末書は謝罪と再発防止策までしっかりと
始末書の場合は、顛末書に書くような事実や原因の説明に加えて、
- そのミスを自分の責任としてどう受け止めているのか
- 今後どんなふうに改善していくのか
つまり、ただ報告するだけではなく、自分の過ちをしっかり認めたうえで、再発防止の意思を明確に伝えることが重要になります。
たとえば
「発注ミスの原因は自分の入力ミスでした。今後は入力内容を提出前に別のスタッフに確認してもらうことで、ダブルチェック体制をとり、同じミスを繰り返さないようにします」
といったように、具体的な対策が書かれていないと、誠意が足りないと判断されてしまうこともあるんです。
また、改善策を書く際には「どうしてそのようなミスをしてしまったのか」を振り返る姿勢も大切です。
たとえば、
「業務に追われて確認が不十分だった」
「慣れによる思い込みがあった」
など、自分の行動を客観的に見つめ直すことで、読み手にも納得感を与える内容になります。
始末書は強制できない?提出を拒否できる場合も
実は、始末書には法的な意味合いもあるため、会社であっても無理やり「絶対に書け」と強制することはできないんです。
始末書は、自分の過失を自らの意思で認め、そのうえで反省と改善を誓う文書なので、本来は“自発的に”書くことが前提になっています。
だからこそ、提出した内容が「自分で認めた証拠」として扱われることもあるんですね。
ただ、現実には「始末書を書いてください」と言われたときに、「書きません」と言える雰囲気ではない職場も多いと思います。
上司からの指示だし、周りの目もあるし…といったプレッシャーもありますよね。
でも、
- どうしてもこの内容には納得できない
- 自分の責任とは思えない
たとえば「このミスには自分以外の要因もあると思うのですが、その場合も始末書が必要でしょうか?」といったように冷静に話を切り出せば、上司側も状況を再確認してくれるかもしれません。
始末書は、書く側にも重みがある文書だからこそ、納得したうえで提出する姿勢が大切なんですね。
実際に書くことになったときの対処法とアドバイス
始末書や顛末書を書くように言われたときは、まずは慌てずに深呼吸をして落ち着きましょう。
最初にやるべきことは、「会社に指定のフォーマットや雛形が用意されていないか」を確認することです。
多くの会社では、過去に提出された例文やテンプレート、書式ルールが決まっていることが多いので、無理に自分で一から考える必要はありません。
もし社内の共有フォルダにひな形がない場合でも、総務や人事の担当者に「過去に使われた例はありますか?」と聞いてみるのもおすすめです。
フォーマットを確認することで、内容をどう書けばいいかの方向性が見えやすくなり、不安も少し和らぎますよ。
そして、内容について迷いや不安がある場合は、遠慮せずに上司や信頼できる先輩に相談してみてください。
「この内容で伝わりますか?」
「もう少し丁寧に書いた方がいいですか?」
といった確認をしておけば、提出後に書き直す手間も減りますし、安心して出せるようになります。
また、もし
「始末書は書きたくない」
「この件で自分が責任を取るのは違うのでは?」
と感じたときも、我慢せずに自分の考えをきちんと伝えることが大切です。
感情的にならずに、
- どういう理由でこの書類の提出を求められているのか
- 自分がどこまでの責任を負うべきか納得できていない
場合によっては、そのミスに複数人の関与があったり、業務フローに問題があるケースもありますので、一人で抱え込まず、まずは話し合う場をつくることが大切です。
書類を書く前に、しっかりと納得したうえで行動できるようにしたいですね。
始末書と顛末書の違いを知れば、対応に迷わない!
会社で働いていると、誰しも一度や二度はミスをしてしまうことがありますよね。
どんなに気をつけていても、忙しさや思い込み、確認不足などからミスは起きてしまうものです。
そして、そんなときに突然「始末書を出してください」と言われてしまうと、どうしても焦ってしまったり、気が重くなってしまうこともあるかもしれません。
でも、そんなときこそ落ち着いて、
- 始末書と顛末書の違いは何か
- どう書けばいいのか
あらかじめ役割の違いや使い分けのポイントを理解しておけば、急に書くことになっても慌てずに対応できますし、自分の立場や気持ちも整理しやすくなります。
始末書は「謝罪と反省、そして改善策までをきちんと盛り込んだ重たい文書」であるのに対して、顛末書は「何が起きたのか、なぜ起きたのかという事実を冷静に報告するための文書」としての役割を持っています。
それぞれが持つ意味合いをしっかりと理解しておくことで、自分が今求められている対応がどんなものかが見えてきます。
たとえミスをしてしまったとしても、その後にどのように対応するか、どんな姿勢で向き合うかがとても重要です。
書類の提出が必要になったときは、素直な気持ちで誠実に向き合う姿勢を大切にしましょう。
反省するべきところはしっかりと見つめ、改善に向けてできることを考えることで、信頼を少しずつ取り戻していけるはずです。
自分の成長のきっかけとして前向きにとらえることができれば、ミスも経験として活かせます。
必要以上に落ち込まず、一歩ずつ前に進んでいきたいですね。
【まとめ】始末書と顛末書の違いを正しく理解して冷静に対応を
始末書と顛末書は、どちらも仕事上でミスやトラブルが起きたときに関わる書類ですが、それぞれの役割や重みは大きく異なります。
顛末書は「何が起こったか」という事実を報告するための文書である一方、始末書は「自分の非を認め、謝罪し、今後の改善策まで示す」反省と誓約の意味を持った文書です。
特に始末書は、懲戒処分などに関わることもあり、法的な意味合いもあるため、自分の責任をどう捉えているかを正確に伝える必要があります。
ただし、感情的になるのではなく、冷静に事実を整理し、誠実な気持ちを込めて書くことが大切です。
また、書くことに納得がいかないと感じたときには、我慢せずに上司や人事に相談して、自分の考えを伝える姿勢も重要です。
会社での信頼関係を築いていくうえでも、誠実な対応が何よりも大切になります。
いざというときに慌てないように、始末書と顛末書の違いを理解しておくことは、社会人として大きな安心につながります。
ミスは誰にでもあるものですが、そこからどう立て直すかが本当の評価につながります。
落ち着いて、丁寧に対応していきましょう。