『アデノウイルス』って聞いたことありますか?
私は、保育園に通っている6歳の娘が、つい先日高熱が出でかかりつけの小児科に行った時に、初めて耳にしました。娘がアデノウイルスにかかったのが12月に入ってからで、熱も40度の高熱が出ました。
そんなインフルエンザに比べてあんまりメジャーじゃない(私が知らなかっただけ?)アデノウイルス。


- アデノウイルスってどんな病気?
- どんな症状が出るの?
- アデノウイルスの感染力について
- アデノウイルスって診断されたらどうしたらいいの?
っていうことについて、お伝えしていきますね。
アデノウイルスってどんな症状があるの?
アデノウイルスとアデノイドって違うの?
『アデノウイルス』と『アデノイド』って名前も似てるし、同じものだと混同してしまいやすいですよね。この2つを同じものだと勘違いして『アデノウイルスが原因で、いびきがひどくなって扁桃腺の手術をしたんですよ~』なんてことを聞いたりすることも。
そもそも、アデノウイルスとアデノイドっていうのは、全くの別物で関連性もまーったくありません。
- アデノウィルって言うのは、アデノウイルスによる風邪の一種で、普通はしばらくすれば自然治癒します
- アデノイドって言うのは、扁桃腺のこと。幼児期に大きくなっちゃう場合があって、風邪をひくと高熱が出やすかったり、いびきがひどかったりするので、そんな時には手術でアデノイドを摘出する場合があります
アデノウイルスの大きさ
『ウイルス』っていう名前がついてるから『インフルエンザ』なんかと同じウイルスに感染して起こる病気なんだろうなぁ?って想像はつきますよね。アデノウイルスの大きさは直径75nm~80nmくらい。インフルエンザウイルスが100nmくらいなので、インフルエンザウイルスよりも少しちいさなウイルスですね。
nmはナノメートルって読んで、その大きさは1nmが10億分の1ミリの大きさ。アデノウイルスにしろ、インフルエンザウイルスにしろ、人間から見るととんでもなく小さいのは間違いありませんね。
アデノウイルスってどんな病気?
アデノウイルスによる高熱とか結膜炎(目が赤くなって目ヤニが出たりする)は、主に乳幼児から高校生くらいまでの間で流行することが多い『風邪の一種』なんです。咳やくしゃみ、鼻水、熱が出たりすると『風邪』ってひとくくりにして呼ばれるけど、アデノウイルスもその風邪の一種なんですね。
実はこのアデノウイルスは、今現在で51種類もの型が確認されているんです。インフルエンザで言うとA型とかB型とかがあるけど、それが51種類もあるんですね。そして、その型によって現れる症状が違ってくるんです。でも、どれもが型が違うだけの同じアデノウイルスなんです。
アデノウイルスの代表的な症状には3つあります。
- 咽頭炎
…喉の腫れ(はれ)とか痛みの症状が1週間くらい続きます。アデノウイルスによる咽頭炎の特徴として、扁桃の部分に白いポツポツが出てくることが多いです。これを『滲出性扁桃炎(しんしゅつせいへんとうえん)』って呼びます。 - 結膜炎
…目ヤニや目の充血、目のまわりの腫れ(はれ)の症状。1度に両目が発症することが多いです。完治まで10日前後かかることも - 高熱
…38度から40度くらいの高熱が出て、熱が下がるまで5日から1週間かかります
夏風邪やプール熱もアデノウイルスが原因
うちの娘の場合は、12月の冬になってアデノウイルスに感染したけど、このアデノウイルスは通年(1年中)かかるおそれがある病気なんですね。
アデノウイルスっていう名前を聞いたことがない人でも『夏風邪とかプール熱っていう病名は聞いたことがある』っていう人が多いんじゃないでしょうか?
実は、この夏風邪とかプール熱も原因の主なものとして、このアデノウイルスがあげられるんです。呼ばれる病名が違うから気が付かなかっただけで、実は昔から知ってた病気だったんですね。
小さな子供は嘔吐下痢の症状
うちの娘が高熱が出る1週間前くらいの時に、保育所の先生から『同じクラスで嘔吐下痢がはやってるので、気を付けてくださいね』って言われてました。小さな子供に出やすい症状に『嘔吐』と『下痢』があるので、実はこのころからアデノウイルスが流行りだしてて、うちの娘は保育所での二次感染が感染源だったと思います。
赤ちゃんにも感染するので、高熱や嘔吐下痢がある時には、早めに病院で見てもらうように気をつけてあげましょうね。
抵抗力が弱い小さな子供やお年寄りは注意が必要
このアデノウイルスは、主に子供がかかって、二次感染で家庭内での大人や兄弟に感染することが多い病気です。
大人が感染した時は、抵抗力もしっかりとしてるから、症状もそこまでひどくなることも少ないですけど、まだ抵抗力が弱い小さな子供や、抵抗力が弱ってるお年寄りに暗線した場合、症状がひどくなることが多いので注意が必要です。
小さい子供の場合は、高熱や嘔吐下痢による脱水症状や熱性けいれんに、お年寄りの場合は、肺炎に十分に注意するようにしましょうね。
アデノウイルスのとっても怖い後遺症
アデノウイルスに感染して肺炎が重篤化してしまうと『髄膜炎(ずいまくえん)』になってしまうこともあります。
髄膜炎っていう病気は、脊髄(せきずい)の髄膜(ずいまく)っていう組織が炎症を起こしてしまって、人間が生きていくためにとっても重要な神経の束の機能を狂わせてしまう病気です。
この症状が長引いてしまうと、麻痺とか意識不明、痙攣発作(けいれんほっさ)のような、とっても重篤な状態になってしまいます。また、この場合には、アデノウイルスが良くなった後でも、後遺症が残ってしまったり、最悪の場合は死に至ってしまうこともある、とっても怖い病気です
風邪とは違うアデノウイルスの強力な感染力って?
アデノウイルスは実際には、風邪の原因となるウイルスの1つなんだけど、その感染力は普通の風邪の比じゃないんですね。
アデノウイルスの感染経路
- 飛沫感染
…アデノウイルスに感染してる人が、咳とかくしゃみをしたりしてウイルスが飛び散ることで、そのウイルスを吸い込んだり、目の粘液から感染することもあります - 接触感染
…アデノウイルスに感染している人が使ったタオルを共同で使ったり、一緒にお湯につかっただけでも感染してしまうことがあります - 糞口感染
…アデノウイルスに感染している便にウイルスが混ざってることがあるから、赤ちゃんが感染してしまって、その赤ちゃんのオムツ換えの時に感染してしまうことがあります
アデノウイルスのとっても長い潜伏期間
この潜伏期間も、普通の風邪と違って、とっても長いのが特徴で、これが感染力の強さの原因の1つとなっちゃってます。
アデノウイルスの潜伏期間は、5日から7日程で、長い場合には2週間も潜伏期間がある場合もあるんです。
潜伏期間っていうのは、ウイルスが体の中に侵入してから、ウイルスが活発に活動を開始して症状が出始めるまでの期間のことを言います。要は体の中に潜伏してるけど症状はまだ発症しない期間のことです。
なので、自分がアデノウイルスに感染してるって気がついてないときとか、もう良くなったから大丈夫って思っても、しばらくはマスクをしたりして、他の人にうつさないように気をつける必要があるんですね。
アデノウイルスって診断されたらどうしたらいい?
アデノウイルスの検査って普通にしてくれるの?
実は、これらの症状があって病院に行っても、アデノウイルスの検査ってしてくれないことが多いんです。
なんでかって言うと、今現在、まだこのアデノウイルスに感染しても治療するお薬がないんですね。要は感染しても自然治癒力で治すしかないんです。なので、アデノウイルスって診断されても、高熱が出たときの為の解熱剤や、嘔吐下痢になった時の胃腸の調子を整える薬などの対処療法しかできないんです。
検査自体は、とっても簡単です。子供の口を大きく開けさせて、綿棒で喉の粘液を採取するだけで、これを使って検査をします。検査時間もうちの時でも15分もあれば結果が出たので、とっても簡単にできる検査のようですね。
アデノウイルスに感染したら登園できないの?
実はこのアデノウイルスは、文部科学省が学校伝染病第2種に指定している病気なんですね。
学校伝染病の第2種って言うのは、飛沫感染で子供にかかりやすく、学校内で流行してしまう可能性が高い伝染病が文部科学省によって指定されるものです。アデノウイルスによる咽頭結膜熱(プール熱)以外にも
- 麻疹(はしか)
- 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
- 水痘(水ぼうそう)
- 結核
アデノウイルスってどれくらいで良くなるの?
普通の風邪よりも、長く高熱が続くのがアデノウイルスの特徴です。普通はだいたい5日前後で良くなります。でも、たまに2週間たっても結膜炎が良くならなかったり、熱がなかなか引かなかったりすることもあります。そんな時は、そのまま放っておかずに病院に行って観てもらうようにしましょう。
文部科学省の学校伝染病第2種でも書いたように、二次感染を防ぐために熱が下がっても2日間はお休みしないといけません。
実はアデノウイルスって、良くなっても発症から2週間くらいは、まだ二次感染可能期間とされているんです。それに、アデノウイルスって、発症してから5日から7日くらいの間に熱が上がったり下がったりを繰り返すことが多いので、『熱が下がって良くなった~』と安心して登園したら、実際はまだ良くなってなくって、また症状がぶり返してしまって、病気が長引いちゃうこともあるんですね。
なので、発症から2週間くらいまでは、熱が下がって良くなったと思っても、できるだけ無理はせずにいた方が良いですし、二次感染予防のためにもマスクとうがい、手洗いはしっかりとするようにしましょう。
アデノウイルスに感染した時の治療
前にも触れたように、アデノウイルスには治療薬がないので、病院からもらうお薬は、症状を和らげてくれる対処療法のお薬になります。
なので、アデノウイルスって診断された時は、早く良くなるためには風邪と同じように『安静』と『栄養・水分補給』がとっても大切になります。
アデノウイルスの治療は、自分自身の自然治癒力による回復になります。なので、しっかりと安静にして過ごすようにしましょう。一日中じーっとお布団の中にいる必要はないですけど、できるだけくつろいだ状態で、お家でゆったりと過ごすようにしましょうね。
アデノウイルスに感染すると、40度近い高熱が出ることもしばしば。小さな子供や赤ちゃんの場合、嘔吐下痢の症状が出ることも多いから、水分と体力が急激に奪われちゃいやすいんです。
なので、栄養補給と水分補給がとっても大切になってきます。無理をせずに3度の食事がきちんと取れる状態ならいいんだけど、高熱で食欲もなくって食べれないこともあります。そんな時には無理に食べさせる必要はないけど、脱水症状にならないように水分は十分に取るように気を付けましょう。食事がとれるときでも、こまめな水分補給がとっても大事ですよ。
食事がとれない時のお勧めは、果物のしぼり汁やオレンジやリンゴの100%ジュースです。水分も栄養も同時に補給できるので、少しずつでもいいので、こまめに補給して体力が落ちないように気をつけましょうね。
アデノウイルスが良くなってもまたかかっちゃうことも
アデノウイルスは現在51種類あることがわかっているって話はしましたよね?インフルエンザでもそうですが、A型に感染しても、B型の免疫ができてる訳じゃないので、違う型のものに感染しちゃうこともあります。
同じように、アデノウイルスでも、1度感染したからと言っても、別の型のウイルスが体内に入ってきたら、その型のウイルスの免疫がついている訳じゃないので、感染・発症してしまう可能性があります。
良くなったからって安心せずに、しっかりと手洗いやうがいをして、予防するようにしましょう。
さいごに
アデノウイルスは、インフルエンザに比べるとあんまり認知度が高くない病気です。風邪の一種だからと言っても、とっても感染力が強い病気だし、40度近くの高熱も出て、治るまでの期間も長い、大変な病気なんですよね。
なので二次感染を防ぐためにも、病院でももっと積極的にアデノウイルス検査をやってくれたらいいんですが。治療薬がないことが理由で、検査をせずに普通に風邪って診断されちゃうことも多いんですね。
だから、私たち親がアデノウイルスについて、きちんと知って、疑いがある時には、検査をしてもらうように気をつけないといけませんよね。
また、大人にも感染する病気なので、子供の看病をするときにも、十分に気をつけて『家族総倒れ』にならないように気をつけましょう。(ちなみに、私も症状はそうたいしたことはなかったんですが、しっかりと感染しちゃいました^^;)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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