子供が小学生になると、保護者会や授業参観などで、平日に参加しなければならない行事が増えてきます。
そうなると仕事がある人は、平日に休みを取らなければいけないので、大変ですよね。
正社員で働いている人は有給休暇でお休みがとれますが、パートの場合は、有給休暇を使うことはできるのでしょうか。
あまり知られていませんが、一定の条件を満たすことでパートでもちゃんと有給休暇は取得できます。
有給休暇というのは、労働基準法第39条で定められた「すべての労働者に与えられた権利」なんです。
パートでは有給がもらえないと思っているパートタイマー本人や、雇用主も多いので、正しい知識をつけて、有給休暇を取得しやすい環境づくりをしていきましょう。
パートの有給休暇は週20時間以上の出勤で取得できるの?
では、具体的に有給休暇付与の条件はどのようなものがあるのでしょうか。
有給休暇付与の条件とは?
有給休暇が付与される条件は以下2点です。
- 雇用された日から6カ月間継続して勤務している
- 全労働日の8割以上出勤している
ただし、付与される有給休暇の日数は、その人の労働時間によって変動するので、注意が必要です。
パートで勤務日数が少なくても有給休暇は取得できる?
勤務日数や1日当たりの労働時間が少ない場合でも、前述の条件を満たしていれば、有給休暇は取得できます。
ですが、正社員やフルタイム労働の人より、付与日数が少なくなります。
①通常の労働者の付与日数
②週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数
②の表は、週4日以下かつ週30時間未満の労働者に与えられる有給休暇付与日数です。
そのため、パートやアルバイトであっても、週30時間以上または週5日勤務(例えば、週20時間勤務でも)どちらかの条件を満たせば、正社員と同じ①の付与日数になります。
パートの有給の賃金は6割?平均賃金の計算の仕方を解説!
有給休暇とは、その名の通り「有給」の休暇制度であるため、賃金が発生する休暇になります。
月給制であれば、通常通り勤務したものとみなし、賃金から減額されることはありません。
しかし、時給制のパートやアルバイトの場合は、曜日によって勤務時間が異なることもあるため、どのような計算方法になるのでしょうか。
パートの有給休暇の賃金計算方法は?
有給休暇を取得した日の賃金は
①平均賃金(過去3カ月間における1日あたりの賃金)
②通常の賃金(所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金)
③標準報酬日額(健康保険法 ※労使協定が必要)
のいずれかの方法により計算します。
一般的には②の通常の賃金が支払われる場合が多く、この方法であれば何曜日に休みを取得しても同じ時給分の賃金が支払われることになります。
パートやアルバイトでも、一日の労働時間が一定の場合は、②の方法をとることが多いようです。
反対に一日の労働時間が一定ではない場合は、①の平均賃金の方法が採用されます。
計算方法は、次のABを比較して高い方の金額が支払われます。
(A)過去3カ月間の賃金合計 ÷ 過去3カ月間の暦日数
(B)過去3カ月間の賃金合計 ÷ 過去3カ月間の労働日数 × 0.6
以下、具体例で解説します。
過去3カ月間 合計賃金 200,000円
合計出勤日数 30日
合計暦日数 91日
この場合の①の平均賃金の計算方法は
(A)200,000円 ÷ 91日 = 2197.80円
(B)200,000円 ÷ 30日 × 60% = 4000円
となり、高い方のBの4000円が平均賃金となります。
この方法であれば、いつ休みを取得しても4000円が支払われることになります。
なお、③の標準報酬日額は労使協定を締結することが条件で、パートの場合は、あまり使われないようです。
有給休暇の基本ルールを理解して気持ちよく休みを取ろう!
有給休暇は法律で定められた、全ての労働者に与えられる権利です。
そのため、一定の条件を満たしていれば、正社員であろうとパートやアルバイトであろうと、誰でも取得することができます。
会社は、労働者から有給取得の申請があった場合、それを拒んではいけないこととされています。
(※「時季変更権」により、日常の業務に支障があるような日程の場合は、使用者は労働者に対して休暇時期を変更するように主張することが可能です。)
有給休暇には有効期限が存在し、付与された日から2年が過ぎると、自動的に消滅してしまうので、注意が必要です。
2019年4月からは労働基準法の改正により
が義務付けられました。
そうはいっても、まだ有給休暇の取得率が低い企業はたくさんあります。
特にパートやアルバイト従業員には、有給は無いと誤解している使用者側も多数いるのが現状です。
パートに有給を取らせない?会社側が罰則対象になるケースも!
パートやアルバイトだから有休が取得できない。という話を耳にすることがありますが、実際にはどうなのでしょうか?
また、有休をとらせなかった場合、会社側に罰則などはあるのでしょうか?
会社側が有休休暇を設けないのはありえない
有給休暇は会社側が善意で設けているものではなくて、しっかりと法律で有給休暇を付与しなくてはいけないという決まりがあります。
このことから考えると、有給休暇を設けていない会社は労働基準法に違反していることになります。
これは、正社員やパートなどの立場とは関係なく、働く人全員が対象になります。
もし、有給休暇を設けていない場合は「6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科せられてしまいます。
会社によっては、有給休暇をちゃんと取らせてくれない場合もありますが、「有給休暇」の制度自体を設けていないという会社はほとんどありません。
有給休暇を勝手に消化させるのは違法
基本的に有給休暇というものは、労働者側の都合で取得するものです。
会社の都合で有給休暇を強制して取らせたり、勝手に「この日に休んでね」と割り当てるするものではありません。
労働者との話し合いで休暇を取得するので、会社側からの強制は認められないのです。
また、労働者の知らない間に「有給休暇扱い」にするのは違法になります。
有給休暇を会社側が買い取ったり別日にしてもらうのはOK
会社側は労働者に有休休暇を取得してもらう義務がありますが、
「労働者側もいつでも好きなタイミングで有給を取れる」
という訳ではありません。
会社の繁盛期などで人手が必要なときには、会社側に「事情に応じて有給の日を変更してもらう権利」があるのです。
こういったときには「仕事をしたくない」といった理由で有給を取得することは出来ませんので、注意が必要です。
また、あまり多いケースではありませんが、会社側が労働者の有休を買い取ることも出来るのです。
ですが、買い取る側も無制限に買い取ることが出来るわけではなく。
法律で定められた最低日数は、実際に有給級kとして取得してもらう必要があります。
有給休暇がなくても違法でないケースも存在する!?
有給休暇が設けられていないのは違法ですが、例外なケースも存在します。
それは、有給休暇取得の為に必要な条件を満たしていない可能性があるからです。
具体的な条件を紹介していきますので、確認してみましょう!
有給休暇がなくても違法でないケース①入社して6ヵ月未満
基本的に有給休暇が付与されるのが、入社してから6ヵ月以上経過してからになります。
なので、6ヵ月以上経過していない時期に休暇を申請しても取得することは出来ません。
この場合は、会社側も付与しなくても違法にはなりません。
有給休暇がなくても違法でないケース②雇用契約ではなく請負契約
有給休暇は、「雇用契約を結んでいること」が大前提での契約になります。
つまり「請負契約」は、有給休暇が付与される対象ではないので注意が必要です。
ですが、請負契約は成果に基づく契約なので、成果がでればいつどのように働くかは自由に決めることが出来ます。
有休がなくても、自由に休みを決めることが出来るということですね。
有給休暇がなくても違法でないケース③働かない期間が1ヵ月以上
有休が取得できるのは勤続6ヵ月以上で、これは正社員も派遣社員も同様です。
派遣で契約している人は、派遣会社から有給が支給されますが、時には仕事が無く次の仕事まで1ヵ月以上空いてしまう時があります。
実は、1ヵ月以上仕事をしていないと有給がリセットされてしまう仕組みになっているのです。
有休が無くなるので、会社側が労働者に有休を取得させる義務がなくなるので違法ではないのです。
有給休暇がなくても違法でないケース④勤務日数が年間48日未満
勤続6ヵ月以上が有休取得の条件ですが、年間労働48日未満だと有給を取得することは出来ません。
1年が52週なので、1週間の1日以上働かないと有給休暇の付与がないので注意しましょう。
有給消化義務はパートでも適用される?のまとめ
パートやアルバイト従業員でも、有給休暇は取得できますので、先ずは自分が付与の対象かどうかを確認することをおすすめします。
お給料を気にせずに休みを取って、子供の学校行事などに参加できるといいですね!