
子どもが「絵が嫌い」「描けない」と言い出したとき、どう関わったらいいか迷いますよね。
無理に描かせるのも何か違う気がするし、かといってほうっておくのも心配。
そのモヤモヤ、とてもよくわかります。
実は、絵への苦手意識は関わり方次第でずいぶん変わります。
この記事では、子どもが安心して描けるようになる声かけや教え方のコツを、年齢別のポイントや家庭でできるアイデアも含めてお伝えします。
「うちの子にもできるかも」と思っていただけたらうれしいです。
絵が苦手な子供への教え方で最初に知っておきたいこと
まず最初に安心していただきたいのですが、絵が苦手な子どもへの関わり方には、ちゃんとコツがあります。
そして、それはとても難しいものではありません。
絵が苦手=才能がないとは限らない
「うちの子は絵の才能がないのかも…」と感じたことはありませんか?でも、それはちょっと待ってください。
子どもが絵を苦手と感じる理由は、才能とはほとんど関係ないことが多いです。
環境や声かけ、経験の積み重ね方によって、絵への印象はガラッと変わります。
「苦手」という感覚は、育ちの中でいつの間かついてしまったものであることがほとんど。
だから、関わり方を変えることで、その印象も変えていけます。
実際、子どもと一緒に絵を描いてみたとき、最初は「描けない」と言っていたのに、プレッシャーをなくして自由に描いてもらったら楽しそうに何枚も描き続けていた、ということがありました。
才能じゃなくて、環境だったんだなと実感した瞬間でした。
描けない理由は子どもによって違う
「なんで描けないのか」は、子どもによってさまざまです。
- 思ったように線が引けない
- 何を描けばいいかわからない
- 描いたものを笑われた経験がある
- 完璧に描こうとしてプレッシャーになっている
同じ「苦手」でも、その背景はそれぞれ違います。
だからこそ、「こうすれば全員OK!」という万能な方法はなく、その子の様子をよく見ながら関わることが大切になってきます。
上手に描かせるより安心して描けることが大切
ここが、実はいちばん大事なポイントです。
「上手に描かせること」より「安心して描ける環境をつくること」のほうが、子どもの成長につながります。
上手さを求めると、子どもは「失敗したくない」というプレッシャーを感じます。
そのプレッシャーが積み重なると、やがて「絵が嫌い」という気持ちに変わっていってしまうんですよね。
だから、まずは「描くこと自体が楽しい!」と感じてもらうことを目標にしてみてください。
子供が絵を苦手と感じやすい主な理由
子どもが「絵が苦手」と感じるようになる背景には、いくつかのパターンがあります。
どれかひとつに当てはまることもあれば、複数重なっていることもあります。
思ったように描けず自信をなくしている
「頭の中にイメージはあるのに、描いてみたら全然違う」という経験、大人でもありますよね。
子どもにとってはこのギャップがとてもつらく感じられます。
描くたびに「失敗した」という気持ちになれば、だんだん「どうせ描けない」と思うようになっていきます。
周りと比べてしまい苦手意識が強くなる
幼稚園や保育園、小学校でお友達の絵を見て、「あの子はこんなに上手なのに…」と感じてしまうことがあります。
比較は大人でも苦しいもの。(子どもはもっと純粋にダメージを受けます)
特に気にしやすい子は、一度ついた苦手意識がなかなか消えにくいこともあります。
何を描けばいいかわからず手が止まる
「自由に描いてね」という言葉は、大人には優しく聞こえますが、子どもには逆にプレッシャーになることがあります。
テーマが広すぎると「何を描けばいいの?」と頭が真っ白になってしまう子も少なくありません。
大人に直されすぎて楽しくなくなっている
良かれと思って「ここはこう描くといいよ」「もっとこうしたら?」とアドバイスしてしまうこと、ありますよね。
でも子どもにとっては「自分の描いたものを否定された」と感じてしまうことがあります。
特に繰り返されると、「描いても直される」という経験として積み重なっていきます。
実は私も、子どもが描いた太陽に「足がありすぎるよ」と言ったことがあります。
そのとき子どもがスッと黙ってしまって…あ、余計なことを言ってしまったと後悔しました。
それ以来、描いたものに口を出すのをやめたら、自分からまた描くようになってくれました。
手先の発達や感覚面の違いが影響していることもある
発達の個人差として、手先のコントロールがまだ難しかったり、感覚の違いから道具の感触が苦手だったりする子もいます。
これは子どもの努力不足でも親の関わり方の問題でもなく、その子の発達の特性によるもの。
「なぜ描けないの?」と焦らず、ゆっくり寄り添う姿勢が大切です。
絵が苦手な子供にやってはいけない教え方
やさしく関わっているつもりでも、知らないうちに子どもの苦手意識を強めてしまっていることがあります。
ここでは特に気をつけたいNGパターンを紹介します。
いきなり上手さを求める
「もっと上手に描こうよ」「なんでこんな描き方なの?」という言葉は、子どもの意欲をぐっと下げてしまいます。
最初から「上手に描くこと」をゴールにしてしまうと、描く前から怖くなってしまう子もいます。
見本通りに描かせすぎる
「まずこう描いて、次にこうして…」と手順を細かく教えることが続くと、子どもは「こうしなきゃいけない」という思い込みに縛られていきます。
見本はあくまで参考程度に。
描き方を押しつけず、子どもなりの表現を大切にしてあげてください。
兄弟や友達と比べる
「お兄ちゃんは上手だったのに」「◯◯ちゃんはもっとすごいよ」という言葉は、たとえ軽く言ったつもりでも、子どもの心に深く刺さります。
比べること自体が、苦手意識の大きな原因のひとつです。
間違いをすぐ指摘する
「犬の足は4本だよ」「空は青く塗らないと」…そう言いたくなる気持ちもわかります。
でも、子どもの絵に「間違い」はありません。(そもそも自由な表現に正解はないですから)
気になっても、まずはそのままの表現を受け止めてあげることが大切です。
嫌がっているのに無理に続けさせる
「せっかく始めたんだから最後まで描きなさい」と押し進めることで、絵への抵抗感がさらに強くなってしまうことがあります。
嫌がっているサインに気づいたら、無理に続けず、別のタイミングに切り替えてみてください。
絵が苦手な子供へのやさしい教え方のコツ
では、どんな関わり方が子どもの「描きたい!」を引き出すのでしょうか。
日常の中で取り入れやすいコツをご紹介します。
まずは線や丸など簡単な形から始める
「絵を描こう!」といきなり言うと、ハードルが高く感じる子もいます。
まずは「ぐるぐる丸を描いてみよう」「長い線と短い線、どっちが描けるかな?」といった遊び感覚から入ると、子どもも気軽に参加できます。
「描く」ではなく「遊ぶ」という感覚にするだけで、子どもの反応がずいぶん変わります。
完成よりも描いた過程をほめる
「すごい、ここ描いてたんだね!」
「いっぱい線引いたね」
など、結果ではなくプロセスに注目した声かけをしてみてください。
完成した絵がどんな出来でも、「描こうとした」「手を動かした」こと自体が立派な一歩です。
正解を決めず自由に描かせる
「太陽は丸くなくていい」「空は緑でも赤でもいい」。
そう伝えることで、子どもは「失敗しなくていいんだ」と気づきます。
正解のない絵の世界を、思いきり楽しんでもらいましょう。
子どもが好きなものを題材にする
好きなキャラクター、好きな食べ物、好きな乗り物。
題材を子どもの「好き」から選ぶと、描く意欲がぐっと上がります。
「何描きたい?」と聞くだけで、驚くほど積極的に取り組む子もいます。
親も一緒に描いて見せて安心感をつくる
「一緒に描こう!ママ(パパ)も描くよ」と、隣で一緒に描いてあげると、子どもは安心します。
しかも、大人が「あ、失敗した!でも別にいいか」とつぶやきながら描く姿を見せると、「失敗してもいいんだ」というメッセージが自然と伝わります。
一緒に描いてみたとき、わざとヘタに描いて「あ~!ぜんぜんうまく描けない!」って笑いながら言ったら、子どもが爆笑してくれて、そこからはリラックスして楽しそうに描いていました。
こちらが力を抜くだけで、子どもも楽になるんだなと思った体験でした。
絵が苦手な子供が描きやすくなる声かけ例
声かけひとつで、子どもの絵への向き合い方はガラッと変わります。
ここでは、具体的な言葉の例をお伝えします。
「上手だね」よりうれしい声かけとは
「上手だね」という言葉、実はプレッシャーになることがあります。
「上手でないといけない」という思い込みにつながってしまうからです。
代わりに使いたい声かけはこちらです。
- 「これ、何を描いたの?教えて!」
- 「ここの色、すごくいいね」
- 「こんなの描けたんだ、すごいじゃん!」
- 「たくさん描いたね!」
描いた内容や行動そのものに注目した声かけが、子どもの自信につながります。
描いたものを否定しない聞き方のコツ
子どもが描いた絵を見て「これ何?」と聞くのはOKですが、「なんかよくわからないね」はNGです。
どんな絵にも「その子の意図」があります。
「これはどんなお話なの?」「ここに描いてあるのは何?」というふうに、興味を持って聞いてあげましょう。
やる気を引き出しやすい言葉
「一緒にやってみようか」「ちょっとだけやってみる?」という言葉は、気が乗らないときにも参加しやすい声かけです。
「描かなきゃ」というプレッシャーをなくしてあげることが、やる気の入り口になります。
途中で嫌になったときの寄り添い方
「もうやめたい」と言い出したとき、「最後までやりなさい」ではなく「そっか、今日はここまでにしよう」と受け止めてあげてください。
続けること自体が目的ではありません。
また気が向いたときに戻ってこられる余地を残してあげることが、長い目で見ると大切です。
家庭で取り入れやすい絵の苦手克服アイデア
「描く」以外にも、絵への苦手意識をほぐす方法はたくさんあります。
遊び感覚で試せるアイデアをいくつか紹介します。
おえかき前に指先遊びを取り入れる
粘土、ちぎり絵、ビーズ通しなど、指先を使う遊びは「描く力」の土台になります。
特に鉛筆やクレヨンをうまく持てない子には、まず指先を使う遊びで感覚を育ててから、おえかきに移ると取り組みやすくなります。
クレヨンや太いペンなど道具を変えてみる
細い鉛筆より、太めのクレヨンや水性ペンのほうが力を使わず描けるので、手先の力がまだ弱い子には向いています。
道具を変えるだけで、「描けた!」という経験がしやすくなります。
なぞり描きやシール遊びから入る
いきなり白紙に描かせるより、点線をなぞったり、シールを貼って絵を完成させたりするほうが、苦手意識のある子には取り組みやすいです。
「できた」という達成感を積み重ねることが、次の一歩につながります。
絵の具やスタンプなど描く以外の表現も試す
手に絵の具をつけてぺたっと押すスタンプ、スポンジでポンポンと色をのせる技法など、「描く」以外の表現遊びも絵の世界への入り口になります。
「楽しい!」という気持ちが先にあれば、自然と「描いてみようかな」につながっていきます。
短時間で終われる遊びにして負担を減らす
「5分だけやってみよう」「これ1個だけ描いてみよう」というように、終わりが見えやすい設定にすると、取り組みやすくなります。
長時間続けることより、短くても「楽しかった!」という経験を積み重ねることのほうが大切です。
年齢別に見る絵が苦手な子供への教え方のポイント
年齢によって、子どもの発達段階や絵への向き合い方は変わります。
それぞれの時期に合ったサポートを知っておくと、関わりやすくなります。
2歳~3歳は描く楽しさを優先する
この時期は、線がまっすぐ引けなくても、形が整っていなくても当然です。
2〜3歳の絵は「上手に描けているか」より「描く楽しさを感じているか」がすべてです。
紙いっぱいにぐるぐると描くだけで、十分な表現活動になっています。
大人はただ隣で楽しそうに見ていてあげるだけで、十分なサポートになります。
4歳~5歳はイメージを形にする手助けをする
「描きたいものはあるのに、うまく描けない」というもどかしさが出てくる時期です。
描き方を教えるより、「どんなもの描きたいの?」「大きい?小さい?」と会話しながらイメージを引き出してあげると、子ども自身が描く楽しさを見つけやすくなります。
小学生は苦手意識と自信のバランスを見る
図画工作の授業が始まり、友達との差を感じやすくなる時期です。
「描かなきゃいけない」という義務感から苦手意識が強くなることもあります。
この頃は、結果よりも「自分で工夫した部分」に注目した声かけが特に大切です。
「ここのアイデア、すごくいいね」
「こんなふうに考えたんだね」
と、その子らしい視点を認めてあげましょう。
こんなときは無理に教えず様子を見てもよい
「教えなきゃ」と焦る必要がない場面もあります。
子どものペースを大切にするために、知っておきたいことをお伝えします。
疲れているときや気分が乗らないとき
体も心も疲れているときに「さあ描こう!」と誘っても、うまくいかないことがほとんどです。
「今日は絵よりも違うことがしたい気分なのかな」と受け止めて、別のタイミングに切り替えることも大切な判断です。
絵以外の表現遊びを好むタイプの子
積み木、工作、音楽、身体を動かす遊びが大好きな子もいます。
絵を描くことがその子の「表現の形」でないだけで、表現する力がないわけではありません。
その子が好む表現を大切にしながら、絵はそのひとつとして気軽に触れる程度で十分なこともあります。
極端に嫌がる場合に見直したいこと
強く嫌がる背景には、過去に「ひどく怒られた」「笑われた」「比べられた」などのつらい経験が残っていることがあります。
そういった場合は、まずその経験に寄り添うことが先です。
無理に練習させるより、子どもとの信頼関係を築くことを優先してみてください。
心配が強いときに相談を考えたい場面
発達の特性として、感覚面や手先の細かい動きに難しさがある場合、専門的なサポートが助けになることがあります。
「うちの子、どうして極端に嫌がるんだろう…」と長期間気になるようであれば、園や学校の先生、または発達支援センターや小児科などに相談してみることも選択肢のひとつです。
絵が苦手な子供への教え方で大切なのはできたより楽しめたの気持ち
最後に、いちばん伝えたいことをまとめます。
絵が苦手な子どもへの関わりで何より大切なのは、「できた」より「楽しかった」を積み重ねることです。
苦手を責めず小さな成功体験を重ねる
大きな上達でなくていいんです。
「今日は丸が描けた」「自分で色を選べた」、そんな小さな一歩を一緒に喜んであげてください。
その積み重ねが、子どもの「できる」という感覚をゆっくりと育てていきます。
親の関わり方で絵への印象は変わる
子どもにとって、保護者の反応はとても大きな影響を持っています。
「上手」より「楽しそう」と声をかけてもらった経験が、絵を好きになるきっかけになることもあります。
焦らなくていいんです。
うまく描けなくても、今日のひと言がその子の「絵って楽しいな」につながっていきます。
その子らしい表現を認めることが自信につながる
描き方が独特でも、色使いが個性的でも、それがその子の表現です。
上手さではなく「その子らしさ」を認める関わりが、絵への自信だけでなく、自己肯定感にもつながっていきます。
全部一度にやろうとしなくていいんです。
今日から声かけをひとつ変えてみるだけでも、子どもの表情は変わります。
「楽しかった!」と言ってくれる瞬間が、きっとあなたにも訪れますように。