
読み聞かせって、子どもが生まれてから急に生活の中に入ってくるものですよね。
出産前は、小説やエッセイみたいな大人向けの本ばかり読んでいたのに。
気がつけば毎晩のように絵本を開いていて「あれ、私こんなに声に出して読んでたっけ」と、不思議な気分になることもありました。
私自身、最初は「子どものために読んであげる」という感覚が強くて、自分の気持ちにまで意識を向ける余裕なんてなかったのですが、続けていくうちにふとした瞬間に気づいたことがあるんです。
それは、絵本を読む時間が子どもだけではなくて、自分の心にもそっと触れてくれていたということでした。
絵本のページをめくるリズムや優しい言葉の響きに、自分が思っていた以上に癒されているのを感じたり、何気ない場面で胸の奥がじんわり温かくなることがあったりして。
「ああ、これって子どもの成長を願う時間であると同時に、自分の心を整える時間でもあるんだな」と思えたんですね。
忙しかった一日の終わりに絵本を開くと、子どもの横で読んでいるはずなのに、自分の気持ちがふっと軽くなる瞬間があります。
うまくいかなかった日や、心が騒がしくて落ち着かない日でも、声に出して読むだけで少しずつ落ち着いていくような感覚があって、文字通り「一緒に深呼吸している」ような気がするんです。
読み聞かせは単なる習慣ではなく、親子で心をつなげる大切な時間なのかもしれません。
これから読み聞かせを始めたいと思っている方も、毎日続けられなくて不安を感じている方も、まずは気軽にページを開いてみてくださいね。
あなたの声で届ける物語が、きっとあなた自身にも優しい変化を連れてきてくれますよ。
読み聞かせの音読は大人にも子どもにも嬉しい効果があるって本当?
絵本の読み聞かせというと、つい「子どものため」と思いがちですよね。
確かに、幼児期の子どもにとって音読は、ことばの習得や想像力の芽生えにとってとても大切な役割を持っています。
でも実はこの読み聞かせ、子どもだけじゃなく読んでいる大人の心にも、じんわりとした影響を与えてくれることがあるんです。
読み聞かせが親の心をふっと軽くしてくれる時間に
たとえば、仕事や家事でせわしない毎日を過ごしていると、頭の中がどんどんせかせかしてきて「ちょっと立ち止まりたいな」と思う瞬間がありますよね。
そんなとき、子どもに「読んで~」と絵本を差し出された瞬間、ふっと現実がやわらいで、ページをめくるだけで気持ちがゆるんでいく感覚があるんです。
声に出して読むという行為は、ただ文字を追うよりも呼吸やテンポに意識が向くので、自分自身を落ち着かせるスイッチにもなってくれます。
絵本のやさしい言葉が大人の心にも届くことがある
絵本のことばって、長くても短くてもやさしい響きが多いですよね。
読む側の心がギスギスしているときにこそ、あのやわらかい言葉たちがすっと染み込んでくることがあります。
私自身も、子どもが小さかった頃の毎晩の読み聞かせが、自分の気持ちを整える時間になっていたことに、ずいぶんあとから気づきました。
親子で「同じ時間・同じ感情」を共有できる
そして何より、絵本を読んでいる時間は、親子が同じリズムで呼吸をして、同じ物語を味わって、同じところで笑ったり黙ったりすることができる特別な時間なんです。
そんなふうに、ことばのやりとりだけじゃない「こころの交流」が起きるのも、読み聞かせが持つ大きな力のひとつだと思います。
完璧じゃなくていい。ただ声に出してみることから
もちろん、すべての人に同じ効果があるとは言い切れませんが、少なくとも「声に出して読むこと」は、子どもにとっても、大人にとっても、どこか深い部分にそっと触れる時間になってくれる可能性があります。
毎日じゃなくてもいいし、うまく読めなくてもいい。
気持ちを込めて、ちょっとだけ声に出して読んでみるだけでも、それは立派な「心の時間」になってくれるんじゃないかなと思うんです。
子どもの音読・読み聞かせで期待できる3つの効果
絵本の読み聞かせは、子どもの発達にとって欠かせない営みとして多くの場面で紹介されています。
でも「結局なにがどういいの?」と疑問に感じている方もいるかもしれませんよね。
ここでは、特に幼児期において読み聞かせがどんなふうに子どもの力を引き出してくれるのかを、わかりやすくご紹介していきますね。
① 脳の発達をうながすやさしい刺激になる
子どもの脳は、生まれてから数年で一気に成長していくと言われています。
特に3歳ごろまでに、大人の脳の約8割が完成し、6歳前後には9割近くに達するとされているんです。
このような成長期に、言葉のリズムや音、抑揚のある読み聞かせが耳から届くことで、脳全体がやさしく刺激されていきます。
ただ文字を見せるのではなく、音として“声に出して”伝えることが、記憶や理解、想像の回路をつなげる大事な経験になっていくんですね。
② 親子の心がふれあう安心の時間になる
読み聞かせって、ただ“読んであげる”行為ではなく、“いっしょに過ごす”時間でもありますよね。
お膝の上でぎゅっと寄り添いながらページをめくったり、横になって肩を並べて本を開いたりすることで、子どもは大好きな人の声を間近で感じられます。
こうしたぬくもりのある関わりは、安心感を育み、心の土台を作るうえでもとても大切なんです。
特に夜の寝かしつけの時間に読む絵本は、親子の絆をやさしく結び直してくれる大事な習慣にもなっていきます。
③ 想像力や感性をはぐくむ「心の遊び場」に
絵本の中には、現実とはまったく違う世界がたくさん広がっています。
空を飛ぶ動物や、しゃべる植物、涙を流すロボットなど、子どもたちはどんな物語でもすっとその世界に入り込んでいきますよね。
読み聞かせを通して「この子はどんな気持ちだったのかな?」「次はどうなると思う?」と問いかけてあげることで、子どもの中にある想像の種がどんどん育っていきます。
これはテストで測れる力ではないけれど、生きるうえでとても大切な“感じる力”や“思いやる心”にもつながっていくんですよ。
大人にこそ試してほしい!音読がもたらす3つのメリット
読み聞かせは子どものためだけのものだと思っていませんか?実は、大人の心や脳にとっても、音読の時間が思いがけない癒しや気づきにつながることがあるんです。
私自身、子どもに読んでいるはずの絵本の世界に、自分がいつのまにか引き込まれていたり、
「あ、このセリフ…昔の自分に響いてたかも」
と感じる瞬間があったりして、読み聞かせの時間が“自分のための時間”に変わっていくような感覚を味わったことがあります。
ここでは、大人が音読することで感じられる3つのやさしいメリットをご紹介していきますね。
① 気持ちをゆるめてリセットできるリラックス効果
絵本の文字って、少なくて短くて、やさしい語り口が多いですよね。
その言葉を自分の声でゆっくり読んでいくだけで、気づけば肩の力が抜けて、呼吸もふわっと整っていくことがあります。
無理に感情を込めたり、うまく読もうとしなくても大丈夫。
心地よいペースで声を出すことで、自然と頭の中が静かになって、目の前の世界にだけ集中できる感覚がやってくるんです。
そうやって少しずつ心が落ち着いていく時間は、大人にとっての“深呼吸のひととき”になるんですよ。
② 心のこわばりをほぐしてくれるストレッチみたいな時間
登場人物の気持ちを想像したり、場面に合わせて声を変えてみたり、音読にはちょっとした“心の柔軟体操”のような一面もあります。
大人になると、日々のタスクに追われて気持ちを置き去りにしがちですが、絵本を読むと自然と感情の動きが呼び戻されることがあるんです。
思わずクスッと笑ってしまったり、ふと涙ぐんだり、自分の中の柔らかい部分にそっと触れる時間は、日常ではなかなか得られない大切な感覚かもしれません。
③ 自分の「感じる力」がよみがえる感覚がある
読み聞かせをしているとき、ページをめくる手を止めて「この絵、きれいだな」と思ったり、「あれ、この言葉、こんなに深かったっけ?」と感じることってありませんか?
絵本の世界は、大人の論理や知識とは別のところで、感覚や感情をまっすぐに揺さぶってくれる場所です。
絵や音、言葉を“頭”で理解しようとせずに、“心”で受け取ろうとする力が、音読を通して少しずつ戻ってくることがあるんですよね。
そうした感覚は、日々の暮らしにもやさしい彩りを与えてくれるはずです。
読書が苦手でも大丈夫!読み聞かせをラクに楽しめる絵本3選
「読み聞かせってちょっとハードル高そう」「本を読むのがそもそも苦手で…」と感じている方もいますよね。
でも、実は読み聞かせに“完璧な読み方”なんて必要ないんです。
むしろ、読む量が少なくてテンポもやさしい絵本だからこそ、大人も子どもも一緒に楽しめて、続けやすくなることがあります。
ここでは、私自身も実際に使ってみて
「これはラクだった!」
「子どもがよろこんでくれた!」
と感じた、読み聞かせ初心者にもおすすめの3冊をご紹介しますね。
読む量が少なくて楽しめる「だるまさんシリーズ」
「だるまさんが…どてっ!」というテンポのよい擬音と動きだけで展開していくこのシリーズは、とにかく読むのが簡単で楽しいです。
言葉の少なさが逆にリズムをつくってくれるので、読み手が緊張せずに読めるところが魅力です。
子どもと一緒に体を動かしたり、声をそろえて読んだりすることで、自然と笑いが生まれて、あっという間に親子の空気がやわらぎますよ。
ことばがわからない子にも届きやすい「じゃあじゃあびりびり」
こちらは、赤ちゃんにもおすすめの絵本です。
登場する言葉のほとんどが
「じゃあじゃあ」
「びりびり」
「わんわん」
などの擬音なので、読むというより“音を感じる”ような感覚で楽しめます。
色使いもカラフルで目に入りやすく、まだ言葉を覚えていない月齢の子でもじーっと見つめてくれたり、声に反応して笑ってくれることも多いですよ。
親子で世界観を楽しめる「もこ もこもこ」
この絵本は、とにかく不思議で、最初は「これってどう読むの?」と戸惑うかもしれません。
でも、読むたびに味わいが深まって、子どもと一緒に“自分たちなりの物語”を想像しながら読むのがすごく楽しいんです。
文字は少なく、ページもシンプルなので読むのに負担はありません。
声に出して読むことで、ふしぎな世界にふわっと引き込まれていく感覚があって、大人にも新鮮な刺激をくれる絵本です。
読み聞かせの効果をゆっくり感じられるようになる読み方のコツ
読み聞かせは、ただ“読む”だけではなく、“感じる”時間でもあります。
でも、はじめてのときは「うまく読めるかな」と不安になることもありますよね。
大丈夫です。
読み聞かせは、声のトーンや演技力を磨くものではありません。
自分らしく、等身大の気持ちで絵本と向き合うことが、いちばん心地よい時間につながっていきます。
ここでは、読み聞かせをもっと気楽に、もっとやさしく楽しむための3つのヒントをご紹介しますね。
うまく読もうとしなくていい。まずは“ゆっくり”を意識して
読み聞かせに“正解”はありません。
とにかくゆっくり読むこと、それだけで十分なんです。
子どもは大人が思っている以上に、一語一語をしっかり聞いています。
焦って読んでしまうと、大切な言葉がすり抜けてしまうこともあるので、自分が心地よいと思えるペースで読むのがおすすめです。
間をあけてみたり、ページをめくる前にちょっと絵を見つめてみたり、それくらいの余白があるほうが、読み聞かせの世界はぐっと深まっていきますよ。
感情を入れすぎず、自分の自然な声で読んでみる
つい頑張ってキャラクターの声を変えたり、感情を強く込めてしまうこともあるけれど、実は子どもにとっては“いつものママやパパの声”のほうが安心できることもあるんです。
自然体で、ふだんの会話のように読んであげるだけで、子どもは十分に楽しんでくれます。
声に出すことが苦手な人ほど「自分の声でいいんだ」と思えると、気持ちがずっとラクになるはずです。
「読んであげる」より「いっしょに楽しむ」気持ちで
読み聞かせは、一方的に何かを教える時間ではなく、親子で絵本の世界に入っていく“共有のひととき”です。
読む人と聞く人という関係ではなく、「同じものを見て、同じ物語を味わう仲間」として関わることで、気持ちの負担も減り、自然と笑顔がこぼれやすくなります。
子どもが途中で話しかけてきたり、勝手にページをめくったとしても、それもまた楽しみ方のひとつ。
完璧を目指さず、いま目の前にいる子と「いっしょに読む」を大切にできたら、それだけで素敵な読み聞かせの時間になりますよ。
まとめ:音読は大人にも子どもにもやさしい習慣。焦らずできるところからで大丈夫
絵本の読み聞かせは、子どものためにやっているようで、気づけば自分の心にもじんわりと効いてくる不思議な時間なんですよね。
私も最初は「教育的にいいらしいから」という気持ちで始めたのに、毎晩ページをめくるたびに、子どもより自分のほうが癒されていた気がします。
声に出して読むと、頭の中のガチャガチャした雑音が少し静かになって、深呼吸するみたいに気持ちが落ち着いていくんです。
疲れた日でも、絵本を開いて一文読んだだけで「ああ、今日もなんとかやってるな」って、ほっとできる瞬間が生まれたりして。
それって、けっこうすごいことだなって思うんです。
もちろん、毎日しなきゃとか、うまく読まなきゃなんて思わなくて大丈夫です。
子どもが笑ってくれたらラッキー、寝落ちしてくれたらラッキー、ぐずってても最後まで読めたら奇跡。
それくらいの気持ちでいいんだと思います。
大切なのは“続けること”よりも“いま目の前の一冊”をどう味わえるか、なんですよね。
そして、大人にとっての読み聞かせは、誰かのための時間でもあるし、自分のための時間にもなり得ます。
声に出して読むことって、ちょっと照れくさいけど、どこかあたたかくて、やさしくて、まっすぐで。
だからこそ、心がちょっと疲れてるときにも、ひとつの絵本がそっと背中を押してくれることがあります。
今日も、うまく読めなくてもいい。
途中で終わっても、子どもが違う話を始めちゃってもいい。
ただ、その時間を「一緒にいられてよかったね」と感じられたなら、それがいちばん素敵な読み聞かせだったんじゃないかなと思います。
